マダイを食わせるイメージとタナ取りの一例

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二人の常連さんの釣り方

誘いについてはケースバイケースとなるため、この状況ならこの誘いと具体的に説明するのはなかなか難しい。

そこで、今回の取材で出会った二人の常連さんの釣り方を一例として紹介したい。

最初は取材1日目に7枚を釣ってトップになった五十嵐純一さん。

コマセダイ歴は30年ほどで、とび島丸へは7~8年前から通っているという。その魅力を聞くと、「戦略を立てないと釣れない難しさ、だから面白い」と五十嵐さん。

仕掛けはハリス6号、5号、4号5mずつの3段テーパー2本バリ。

中盤以降、食い渋ったときにもコンスタントに釣っていたのでどのように誘っているのか聞くと、竿を立てて指示ダナより2~3m高めにタナをキープ、探見丸を見て反応が上がってきたときに竿を下げて指示ダナまで付けエサを送り込むイメージとのこと。

この日の鈴木船長のアドバイスは、「落とし込むならタナの上から」というもの。前述した活性のあるマダイが浮いてきたときにスッと食いやすい目の前に付けエサを持っていく。それを忠実に再現していただけと五十嵐さん。

一般に誘い下げ、落とし込みといった誘いは浮いてこない活性の低いマダイを食わせるテクニックというイメージがあるが、タナより深く落とし込みすぎるとマダイにソッポを向かれることがあると鈴木船長も言っていた。

この辺りは通い込んでいるからこその状況判断だが、五十嵐さんは「探見丸があると、船長のアナウンスがより理解しやすい」と教えてくれた。

もう一人は、取材2日目の竿頭、藤井亮介さん。

コマセダイはとび島丸で始めてまだ3年目というが、ほぼ毎週のように通いメキメキ腕を上げている若手のホープ。

藤井さんの仕掛けはオーソドックスな2段テーパー。

この日は上ハリスが6号10m、下ハリスが4~5号6mの全長16m。

その日の状況により下ハリスの長さを調整していくという。

釣り方も船長のアドバイスを元に色いろと考えているようで、この日は下で2回、上で2回、ハリス分から10m以内でコマセを振り切るようなタナ取りで人一倍アタリを出していた。

エサへのこだわりも強く、持参した付けエサは海水氷に入れて鮮度よく保管。

食いのいいときや底潮が流れていないときはゆっくり沈下させるために大きめのエサを、食いが悪くなりマダイがエサを警戒していると感じたなら小さめのエサと使い分けていた。

ちなみに鈴木船長も、マダイは目がいいので、食い渋ると付けエサを選ぶようになる。

だから、なるべくハリが目立たないようにチモトまで隠して付ける抱き合わせが効果的なこともあると言う。

とまあそんな感じで、当地のマダイは仕掛け、エサ、誘い、すべてがマッチしていないとなかなか食ってこない。

そして、その答えを見つけるのが楽しくてとび島丸へ通うファンがいる。

初めてだとなかなか理解できないことが多いかもしれないが、聞けば船長や常連さんが親切に教えてくれる。

コマセダイをやり込んだ人も、そうでない人も、ぜひ一度、とび島丸流のコマセダイを体験してみていただきたい。

ほとんどの人が探見丸を持ち込んでいる。船長が見ている魚探と同じ映像が映るタイプなので、船長のアナウンスを理解しやすい。

五十嵐純一さんもとび島丸のコマセダイにハマった一人。

(左)よく釣る人は付けエサにもこだわる。(右)抱き合わせにするときもチモトが隠れるようにするといい。

藤井さんも探見丸を見ながら頻繁に誘いを入れていた。