社長からレーサーへ!? 過去に類を見ないモリゾウの存在

豊田章男社長ことモリゾウ選手:左

日本には現役社長がレーシングドライバーを務める自動車メーカーがあります。それがトヨタの豊田章男社長。

これまでにレーサーが自動車メーカーをつくった例や、創設者自らがテストのためにレースに参戦した例はあります。しかし、大企業の社長の立場からレーシングドライバーになった人物は前代未聞です。

もちろん他メーカーの社長も、新車が完成したら試乗して意見くらいは述べるでしょう。しかし現在の豊田社長は、テストドライバーのなかでもひとにぎりしか権限をもたない、車の最終的な出来ばえをチェックするマスタードライバーも務めています。

豊田章男社長自身がレーシングドライバーとしてレースに参戦するようになったのは、故・成瀬弘(なるせひろむ)氏の影響が大きいといわれています。

成瀬氏は、トヨタの歴代スポーツモデルに関わってきたテストドライバーの第一人者。豊田社長がアメリカから帰国しトヨタ本社の役職に就く際に、成瀬氏は以下の言葉を告げたといいます。

「運転のことも分からない人に、車のことをああだこうだと言われたくない」

「このトヨタの中には、俺たちみたいに命をかけて車をつくっている人間がいる。そのことを忘れないでほしい」

「月に一度でもいい、もしその気があるなら、俺が運転を教えるよ」

豊田社長とて若くはありません。また、サーキットとはいえレーシングスピードでの走行は死と隣合わせです。それでも豊田社長は、成瀬氏の言葉を胸に世界一過酷といわれるニュルブルクリンク24時間レースをはじめとする数々の耐久レースやラリーに、ルーキーレーシングのモリゾウとして出場しています。

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応援したくなるトヨタのレーサー社長

テストドライバーは経験がなにより重要。車の限界性能を引き出せるのはテストドライバーとしての最低条件です。

世界のトヨタを束ねる社長は、いまだルーキーを名乗りテストドライバーとしての能力を磨き続けている最中。トヨタが「もっといい車づくり」をできるように社長自らがレースに参戦しています。

もちろん遊び心もあるでしょう。 広告塔という意味も込められていることでしょう。しかし、豊田章男社長ことモリゾウ選手の行いからは、トヨタに対して真剣であることが伺えます。

大企業の社長自らがレースへ出場することは、社長職の責任範囲でしょうか。それとも責任放棄でしょうか。どちらであるかは断じることができません。しかし、車好きが高じて自動車メーカーをつくってしまった偉人たちのように、豊田章男社長がカッコいいのは確かといえるでしょう。

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