運転免許証とマイナンバーカード「24年度末」に一体化なぜ? 紛失時はどうする? 国民に良いことあるのか

運転免許証とマイナンバーカードの一体化を警察庁は2024年度末までに行う方針です。マイナンバーカードに関しては様々な問題があるなかで運転免許証との一体化はメリットはあるのでしょうか。

もし一体化カードを紛失したら、どうすればいい?

 警察庁は2024年度末までに運転免許証とマイナンバーカードの一体化に関する運用を開始する方針です。
 
 では、一体化にはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

 マイナンバーカードについては、これまでに健康保険証との一体化が進められ、「マイナ保険証」が医療機関で使用できるようになりました。

 これに伴い、従来の健康保険証は2024年12月2日に廃止されることが決まっています。

 さらに、運転免許証や中長期滞在の外国人が持つ在留カードなどに関してもマイナンバーカードとの一体化が検討されており、警察庁は2024年度末までに運転免許証とマイナンバーカードの一体化に関する運用を開始する方針を示しています。

 具体的には、マイナンバーカードのICチップ内に運転免許証の免許番号や有効期間、免許の種類などの情報を搭載できるようにし、マイナンバーカードに運転免許証の機能を持たせるイメージです。

 この一体化に向けては2022年4月に道路交通法が改正され、以下のように規定が整備されました。

「運転免許を現に受けている者のうち、当該運転免許について運転免許証のみを有するもの等は、いつでも、その者の個人番号カードの区分部分に当該者の運転免許に係る一定の情報(以下「特定免許情報」という。)を記録することを申請することができることとする。

 特定免許情報が記録された個人番号カードは、運転免許証の携帯及び提示義務に係る規定の適用については、運転免許証とみなす。」(参議院ホームページ 議案情報「第208回国会(常会)議案要旨」より引用)

 簡単にまとめると、運転免許証とマイナンバーカードを一体化するか否かはあくまで任意であり、個人で自由に選択できます。

 また一体化したマイナンバーカードは運転中の携帯義務や警察官への提示義務など、運転免許証と同様に扱われます。

 一体化の目的について過去に担当省庁である警察庁の担当者は「マイナンバーカードと運転免許証の一体化については、マイナンバーカードの普及や利用を促進するという観点から、令和4年(2022年)4月の道路交通法の改正により関係規定が整備されたものです」と説明していました。

 では、具体的にどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

 大きなメリットとして挙げられているのは、住所変更の手続きがワンストップ化できるという点です。

 今までは住所変更の際に運転免許証は警察、マイナンバーカードは役所というようにそれぞれ手続きをしなければなりませんでしたが、一体化すれば手続きの窓口を役所に統一できます。

 これは地方公共団体の情報システムと警察庁の運転者管理システムのデータ連携が可能となるためで、役所で住所変更の手続きをすれば新住所が警察のシステムにも反映される仕組みです。

 このようなシステムにより今後は居住地以外での迅速な免許更新手続きも可能になるとみられます。

 その一方で、過去にはマイナ保険証に別人の情報が紐付けられていたり、国の給付金などを受け取る公金受取口座に本人以外の口座が登録されていたりするなどのミスも相次いで発生しています。

 それらの中には他人が個人情報を閲覧できる状態だった事例もあり、誤った情報がマイナンバーカードに紐付けられることで個人情報が漏洩・不正利用されるのではという懸念の声も多く寄せられています。

 一体化に際しては徹底した情報管理が求められるといえるでしょう。

 また、SNS上では「もし一体化したマイナンバーカードを紛失したら再発行されるまで運転できないのかな?」といった疑問も聞かれました。

 現段階で運転免許証とマイナンバーカードの一体化は任意であり、利用者は「1.一体化せず従来の運転免許証を所有する」、「2.一体化したマイナンバーカードと運転免許証の2枚を所有する」、「3.運転免許証を返納し、一体化したマイナンバーカード1枚のみを所有する」などの選択が可能です。

 特に「3.」のケースではマイナンバーカードが運転免許証の機能を担っており、紛失すると再発行されるまでは運転ができないと考えられます。

 現状では、通常のマイナンバーカードの再交付に1か月程度かかっているため、日常的に運転をするドライバーの場合は「1.」や「2.」の選択肢を検討したほうが良いかもしれません。

 一体化したマイナンバーカードの再交付に関しては、前出の警察庁の担当者は「運転免許証と一体化されたマイナンバーカードを紛失した場合に、新たなマイナンバーカードに運転免許の情報を記録するための手続については、可能な限り円滑に行われることとなるよう、関係省庁と検討してまいります」と説明していました。

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 運転免許証とマイナンバーカードの一体化をめぐっては「本人確認書類が1枚に集約されて便利になる」という声も。

 一方、集約することで発生するリスクが指摘されるなど、賛否が分かれています。今後どのように一体化が推進されるのか、その動向が注目されます。