クリープ現象のメリット・デメリット

メリット1:MT車のペダル操作から解放される

クリープ現象によって得られる恩恵は、発進・加速・停車といったあらゆる操作でクラッチペダル操作から解放されることです。

これはCVT車や電気自動車でも同じで、流通しているMT(マニュアル・トランスミッション)車を除く全ての自動車はクラッチペダル操作から解放されています。

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昨今ではAT限定免許の運転手が多いためここでざっくり説明しますと、MT(マニュアルトランスミッション)車ではアクセルを踏むだけでは車を動かすことができず、クラッチペダル(動力を繋いだり遮断するためのペダル)操作が必須です。

右足でアクセル、そして左足でクラッチペダルを扱うのが定番でしたが、クリープ現象(アクセルペダルだけで車を動かせる)のある車種では右足だけでの自動車の運転が可能となりました。

メリット2:ちょっと動かすだけならアクセルペダルを踏む必要がない

ドライブレンジやリバースレンジ(後退する時に選択するレンジのこと)を選んだ状態であればアクセルを踏まずして車両が動きます。

敷地内や駐車場のような移動距離の少ないところでちょっとだけ移動させたい時に、アクセルペダルを操作することなく移動できて便利です。

デメリット1:燃費が悪くなりやすい

クリープ現象が発生する自動車の燃費は悪くなりやすいと言われています。同車種でMT車モデルとAT車モデルを比較すると、MT車のほうがカタログ燃費で優れているというのはよくあった話です。

例えば現行のスイフトスポーツの場合、カタログ燃費は以下のようになります。高速道路モードを見ると大差ありませんが、市街地モードや郊外モードではMTモデルの燃費性能が優れているのは明らかです。

スイフトスポーツ 2WD・6MTモデル 2WD・6ATモデル
WLTCモード 17.6km/L 16.6km/L
高速道路モード 19.2km/L 19.1km/L
市街地モード 13.8km/L 11.9km/L
郊外モード 18.8km/L 7.6km/L

AT車で燃費が悪くなる傾向にある理由として、トルコンの伝達率が挙げられます。これはトルコンの構造上致し方ないのですが、ロックアップ機構やオーバードライブギアなどを用いて燃費性能を向上させる工夫が為されています。

デメリットその2:アクセルを踏まなくても動くことへの違和感

オートマ車よりもMT車に乗り慣れた人にとって、クラッチペダル操作で動力をコントロールすることなく、アクセルペダルを踏むだけで自動車が加速するというのは、人によってはカルチャーショックとも言えるでしょう。

また、MT車の感覚でAT車を運転すると、重大事故を引き起こす可能性があります。それはブレーキとアクセルの踏み間違いや、急発進などを原因として起きている実際の事故のケースを知れば一目同然です。

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クリープ現象の発生する自動車の運転で気をつけたいこと

アクセルを踏まなくても車が動くので注意

ブレーキペダルから足を離すと同時に車が動くわけですから、MT車と比べてドライバーの意思に反していると言えます。

普通、車を動かしたいと思ったらアクセルペダルを踏むわけですが、アクセルペダルを踏んでいないのに自動車が前進・後退することになるので、その点ドライバーとのシンクロ率(一体感)が低いです。

回転数が高いときはクリープ現象でも車が速く動く

回転数が高い状態でクリープ現象が発生すると、低回転時よりも動きが大きくなります。このような状態が発生するのはエンジンを始動してすぐ、つまりアイドリングが高い状態の時です。

結構クイックな動きをしますので、できればエンジン回転数が落ち着くまで動かすのを控えて、急ぎでどうしても動かさなければならない時にはいつもより慎重になりましょう。

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この点を踏まえると、電気自動車にはエンジンが搭載されていないので、回転数が高く急発進するような現象は起こることなく安心です。音も静かで快適な乗り物だとも再認識させられます。

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