スーパーチャージャーとは?

空気を圧縮し容積を小さくしてエンジンに入れ込む装置

©Christopher Dodge/stock.adobe.com

スーパーチャージャーとは、ターボチャージャーと同様に車のパワーを上げるための過給機です。過給機とは圧縮した空気をインテークマニホールドに送り込み、通常より多くの空気を一度に送る装置のことを指します。

なぜ一度に多くの空気を送り込む必要があるかというと、空気量が多いほどパワーが出せるため。つまり多くの空気を入れれば入れるだけ、力強い走りをすることができるのです。

では、単純にたくさんの空気を入れればいいのでは?という疑問が生まれてくると思います。確かにスロットルボディを開けば、その分一度にたくさんの空気を入れ込むことができます。しかし車には排気量という概念があります。排気量とはエンジン内の燃焼室の容積を表しているので、通常であれば排気量以上の空気を入れることはできません

そこで過給機を使い、空気を圧縮し容積を小さくすることで、同じ容積でもたくさんの空気を入れ込めるようにするのです。

過給機にはターボチャージャーとスーパーチャージャーの2種類がありますが、この記事ではスーパーチャージャーについての説明をしていきます。

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スーパーチャージャーの仕組みとは?

スーパーチャージャーはターボチャージャーと違い、クランクからベルトによって駆動し過給を行う装置のことを指します。最近では電動スーパーチャージャーも普及してきました。

いずれにせよスーパーチャージャーは、エンジンからの動力を得て空気を圧縮し、エンジン内に送り込むという仕組みです。圧縮方法はいろいろありますが、簡単に説明すると、エアコンと同じ仕組みのコンプレッサーが過給機に使用されていると考えてもらえればと思います。

スーパーチャージャーの代表的な圧縮方法を3つご紹介しましょう。

遠心式

遠心式の圧縮方法では、ベルトによってタービンを回し空気を圧縮します。ターボチャージャーと同じやり方を採用しており、扇風機のような羽を回すことで空気を圧縮し送り込む方法です。

ルーツ式

2つの特殊な形をしているローターで圧縮を行います。形はいくつかあり、三つ葉、繭型など少し複雑な形状をしている点も特徴の一つです。2個で1セットとなっており、互いに回転しながら空気を移動させます。スーパーチャージャーでは一般的な形の一つであり、現在は振動などを少なくするためねじれを持たすなどの工夫がされています。

リショルム式

らせん状のローターを2本使用し、それぞれのローターを回転させながら空気を圧縮します。回転することで空気はらせんの溝に入り込み、前に進みます。隙間を小さくすることで圧縮を実現しているのです。振動の少なさからコンプレッサーにも採用されている、幅広い使用用途を持つ圧縮方法となっています。

現在は電動スーパーチャージャーが普及している

現在は電気で動く電動式のスーパーチャージャーも普及してきました。ベルトで動く機械式のスーパーチャージャーよりも小型化することに成功しています。また、クランクシャフトから動力を得る必要がないため、ある程度自由に取り付け箇所を選ぶことができます。

エンジンからの動力が不要だということは、燃費も改善されます。また機械式の問題点だった回転数への依存もないため、使い勝手のよさが際立ちます。ターボチャージャーと組み合わせることで、さらに高いパワーを作り出すことも可能なのです。

重量も減らすことに成功し、燃費も改善、さらに大きな問題点だったクランクの回転数への依存にも対応した電動スーパーチャージャー。すでにベンツやボルボなど、世界的にも有名な海外メーカーが量産型の車両に採用しており、今後はさらに普及していくと推測することができます。

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