同接数約1万人、投票数100万票超! 「もう少し伸びてほしかった」プロデューサーが語る本音

――オーディションのお話も聞いていきたいと思います。ファンの方の盛り上がりはいかがでしたか?

毛利:

そもそも『VS AMBIVALENZ』のオーディション自体は開始当初から約1年間という期限を決めていて、「このオーディションからアイドルグループが誕生します」と銘打っていたので、終わりにかけて尻上がり的に盛り上がっていくべきだと思っていたのですが、その通りにはなったと感じています。

これまで2、3カ月に1回の頻度でキャストさんを呼んで中間発表を行っていたのですが、その視聴数は回を重ねるごとにだんだんと増えていきましたし、最終結果を発表する生放送では同時接続数が1万人くらいいて、僕らの中でも過去最高の記録になりました。

――投票数も100万票を超えていて、かなりの票数という印象です。ここまでの票数が集まった要因はどこにあるのでしょう?

毛利:

やはり物語との連動感かなと思っています。『ビバレン』では特に「ライバル」の関係性が企画のコンセプトになっていますが、その2人が切磋琢磨することで互いから学んで競い合い、最後は親友のような関係性になる。でも最後は勝敗が分かれて、デビューできるか否かが突きつけられる。

そうした物語の中でキャラクターの印象もどんどんと変わっていきますし、「こんなに成長した子がもしかしたらこの投票で負けてしまうかもしれない」というオーディションならではの感情が生まれることで、応援したい気持ちがファンの方たちに生まれたのかなと。

その結果、投票が進むにつれてどんどんと票が積み上がっていくような現象につながっていったのではと感じています。

――反響は想定以上でしたか?

毛利:

正直に言えば数字面に関しては、もう少し伸びてほしかった気持ちはあります。ただ、『VS AMBIVALENZ』というコンテンツ自体はここから先も続けていければいいなと思っているんですよね。

そう思うと、最初の《XlamV(クランヴ)》というアイドルグループを生み出したオーディションとしては、非常にいろんなことを経験できましたし、どうすればもっと盛り上げられるのかなども知れたので、かなりの収穫があったかなと。

――また次があるんですね。

毛利:

ええ。「Nizi Project」や「PRODUCE 101 JAPAN」などもあの枠組みを続けられていて、そこからアイドルグループが生み出されていると思うので、僕らもそういった思想で『ビバレン』からさまざまなアイドルグループを誕生させることができたらいいなと思っています。

――一つ気になるのが、一般的なオーディション番組ではデビュー組が決まると同時にデビューしなかった組を応援していた人たちが離れる現象がありますよね。そのあたりはいかがでしたか?

毛利:

正直それが1番の懸念でしたね。1年間という期間を応援してくれていた人たちが、自分の推しがデビューできなかった場合にコンテンツ自体から離れてしまう、というのは本当に危惧していたところでした。

でも、私たちがもともと決めていたのは、「『ビバレン』は14人の物語にしていこう」ということ。オーディションに負けてデビューできない子が出たとしても、その子たちが今後どうなっていくのかをちゃんと描き切ろう、と考えているんです。それをしっかりと突き通すことができれば、少しの期間離れたとしてもまた良いタイミングで戻ってきてくれるんじゃないかと。

とはいえ今振り返ると、自分たちが考えていた以上にデビューできなかった組を応援してくれていた方々も残ってくれていると感じています。やはりオーディションという激動をくぐった方たちはそう簡単に離れていかないんだなと、強く実感しました。

そして、だからこそ僕たちは、負けた子たちを応援してくださっている方にもしっかりと届けられるものを届けていこうと常に考えています。

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《XlamV》デビュー、ファンミに続き初の3DCGライブ開催! 『VS AMBIVALENZ』が描く未来とは?

――2023年4月にはオーディションで勝ち残った7人のアイドルグループ、《XlamV》が始動しました。SNSの更新頻度も相変わらずですが、4カ月連続でシングルをリリースするなど、供給量がすごく多いですよね。

毛利:

先ほどの話とも通じていますが、やはり大きな媒体としての展開がまだないコンテンツからすると、供給量をかなり作っていかないと一瞬で忘れられてしまうという危機感が常にあるんですよね。

もしかしたら1カ月何もしなくても大丈夫かもしれませんが、何もしないとこちらが不安になってくる。そういう感覚なので、自分たちが「これくらいやればいいかな」と思っている2倍くらいはやろう、と話しているんです。

――供給量が多いのは、ファンにとってはとても嬉しいことだと思います。

毛利:

それこそ2023年の9月に、リアルのお客さんを集めたファンミーティングを開催して、その時にMVを初解禁したんですよ。

MVには新規の描き下ろしイラストが入っていたこともあり、歓声を上げているお客さんがたくさんいらっしゃって。これだけ楽しみにしてくれて、熱狂してくれる方たちがいるのであれば、ちょっと大変ですけど、供給の手はやめるべきではないなと改めて思いましたね。

――《XlamV》のデビューは2023年4月。そこから約1年ほど経ちますが、今後の展望などはありますか?

毛利:

ドラマを出して、楽曲を更新して、MVを出して……というのは当たり前に続けていくべきだと思いますが、今後は《XlamV》ならではの新しい展開、活動を作っていかなければいけないなと思っています。

4月12日に3DCGライブが開催されますが、それが僕らの感覚でいうと《XlamV》の第1章の終わりなんですよ。次の第2章ではまた新しい展開を考えていかなければいけない。今後は《XlamV》のオリジナリティみたいなものを作っていく必要があるなとは感じていますね。

――映像化なども考えているのでしょうか?

毛利:

もちろんアニメ化などに対する思いはありますが、制作時間が非常にかかるものなので、タイミングをしっかりと見極めていかなければいけないですよね。

それから、最近配信されたドラマで、オーディションで負けた7人が4人と3人に分かれて別々のレーベルからアイドルグループとしてデビューするという話も進んでいるんです。

『VS AMBIVALENZ』から直接生まれたアイドルグループではないけれど、これをきっかけに生まれたアイドルグループにはなるので、今後はグループごとの楽曲や対バンの3DCGライブなんかもやっていければなと考えています。

あとは先ほどもお話ししましたが、『VS AMBIVALENZ』という枠組みを用いて新しい展開でやっていくというのも並行して動いていこうと思っています。その一つには、2月に発表した『VS AMBIVALENZ II』があります。

《XlamV》のグループ活動もしかり、いろいろなことを考えているので、ぜひ今後の展開に期待していただきたいですね。

(執筆:河西ことみ、取材&編集:阿部裕華)