作中で屈指の人気を誇る黄金聖闘士たちが主役のスピンオフは、全世界で再生回数1億回突破の大ヒット。画像はアニメ『闘士星矢 黄金魂 -soul of gold-』キービジュアル (C)車田正美 / 聖闘士星矢 黄金魂」製作委員会

【画像】不遜さがカッコいい!蟹座のデスマスクを見る(5枚)

活躍を期待していたのに!

 全世界でシリーズ累計5000万部突破の『聖闘士星矢』。ギリシア神話を下敷きとした世界観の下、星座の守護を受けた聖衣(クロス)を身に着けた聖闘士(セイント)たちが戦いを繰り広げる様子は多くのファンを魅了しました。

 しかし星座のイメージが反映された聖闘士が登場するということは、その出番に多かれ少なかれ差が生じます。英雄的なポジションの星座の聖闘士だけでなく、不遇な星座の聖闘士も登場します。

 この記事では蟹座(キャンサー)のデスマスクを巡る当時のファンの反応と、その後の蟹座の扱いについて紹介します。

黄道十二宮の星座は最強の黄金聖闘士

『聖闘士星矢』のなかでも特に人気が高かったのが、黄道十二宮の星座に守護された黄金聖闘士(ゴールドセイント)たちが登場する「十二宮編」です。

 それまでは天馬座や不死鳥座、アンドロメダ座など、自分と関連づけられない聖闘士しか登場しませんでしたが、誰もが該当する黄道十二宮の星座が最強の聖闘士として登場したことで、ファンは自分の星座の聖闘士が登場する期待に胸を膨らませました。

 神秘的な牡羊座のムウ、堂々たる牡牛座のアルデバラン、勇ましき獅子座のアイオリア……。

 星矢たちは十二宮を順番に踏破していくので、自分の星座の出番が近づくにつれて期待は高まる一方です。そして自分の星座の黄金聖闘士がどんな活躍をしたのかによって、クラス内には「星座カースト」とでも言うべきヒエラルキーが形成されました。

活躍できなった蟹座

 星座カーストのなかでも最も不遇だったのは蟹座でした。十二宮のうち、巨蟹宮を守る蟹座のデスマスクだけが黄金聖闘士らしからぬ、卑劣でかっこ悪いキャラクターだったからです。

 ドラゴン紫龍との戦いのなか、デスマスクはその悪に染まった振る舞いのせいで身にまとった黄金聖衣(ゴールドクロス)に見捨てられ、生身で戦うことになってしまいます。また「うびゃあ!?」「あじゃぱー」などの奇声を発していたことも不人気の原因だと言えるでしょう。他の黄金聖闘士は敗北するときですら気高くかっこよかったのに。

 おかげで6月22日~7月22日生まれの蟹座は、ネタ星座として謂(いわ)れのない「いじり」や「からかい」の対象となってしまいました。

 しかし蟹座という星座自体は決してダメな星座ではありません。



スピンオフの『THE LOST CANVAS 冥王神話』はアニメ化されるほどの人気作。正面のキャラが元・蟹座の黄金聖闘士にして教皇のセージ。画像は『聖闘士星矢 THE LOST CANVAS 冥王神話 <第2章> 』DVD3巻(バップ)

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243年前に蟹座が大活躍!

 車田正美先生の本編では不遇の蟹座ですが、本編から243年前の時代を舞台とした、手代木史織先生の外伝『聖闘士星矢 THE LOST CANVAS 冥王神話』においては全く逆です。

 イタリアの古語で死刑執行人を意味する名を持つ蟹座のマニゴルドは不敵で不屈で傲岸不遜、神をも恐れぬ黄金聖闘士として描かれており、教皇セージ唯一の弟子にあたります。つまり教皇はかつて蟹座の黄金聖闘士だったのです。

 自らを犠牲にして死の神タナトスに一矢報いたマニゴルドの気高さは「いじられキャラの蟹座」イメージを覆す強烈なインパクトがあります。彼の活躍に救われた蟹座の人は多いのではないでしょうか。

星座カースト崩壊!蟹座は個性の星座

『聖闘士星矢』には数多くの外伝やスピンオフ作品が存在しています。マニゴルドのようにデスマスク以外にも蟹座の黄金聖闘士は登場しますし、デスマスク自身について異なる解釈がなされるケースも多々あります。

 手段を選ばぬ冷徹な殺し屋の側面が強調されている作品から、冷酷な態度を改め再び黄金聖衣に認められる作品、卑劣要素とコメディ要素が強調され外見まで変化した作品などさまざまです。

 星座カースト最下位で子供時代には「からかい」の原因になったデスマスクですが、今となっては黄金聖闘士のなかで最も個性が際立つキャラクターと言えるかもしれません。

 やはり強くてかっこいい集団のなかには、彼のような個性派も必要なのです。