バイオセンサーを搭載したカミーユの愛機『HGUC 1/144 Zガンダム』(バンダイ)

【画像】超常現象! バイオセンサーを搭載したガンダムを見る

機体制御システムのはずだが……

 モビルスーツの変形や、3勢力が入り乱れての複雑な攻防など、意欲的な作品作りで人気のアニメ『機動戦士Zガンダム』。主役モビルスーツの「Zガンダム」や、ラスボスの「ジ・O」などに搭載されている特殊な操縦補助システムが「バイオセンサー」です。

 現実にも「バイオセンサー」は、存在しますが、これは「生体の持つ酵素などを感知し、熱あるいは光学的な変化などを、電気信号に変換する化学センサー」を指します。

『Zガンダム』に登場したバイオセンサーは、これとは違い、モビルスーツの反応速度やコントロール速度を向上させる機能を持った、簡易サイコミュシステムです。何が「簡易」なのかと言えば、ファンネルの制御機能を省いて、モビルスーツ本体の機体制御機能の向上に特化した小型化システムとされています。原理としては、脳波でファンネルを操作するサイコミュと同じということです。

 開発はグリプス戦役中で、エゥーゴを支援するアナハイム・エレクトロニクス社と、物語後半でティターンズを指揮する天才パプテマス・シロッコが、それぞれ別個に開発したとされています。

 Zガンダムや、続編『機動戦士ガンダムZZ』の主役機ZZガンダムに搭載されたバイオセンサーは、本来の目的と違った挙動を示しています。ビームライフルやビームサーベルが本来の出力よりも増大化して起動したり、エネルギー切れのはずのハイ・メガ・キャノンを発砲できたりと、機体制御機能とは関係しないはずの部分で大幅に性能向上しているのです。

 特に、ニュータイプ能力が非常に高いカミーユ・ビダンが操縦するZガンダムでは、機体の周囲にサイコ・フィールドを発生させて、ビーム兵器の直撃を防いだり、敵機の索敵モニターをかく乱させたり、死者の魂と共感して、敵モビルスーツの制御を奪ったりしています。

 なぜこのようなことができるのでしょうか。

 筆者は、バイオセンサーが本来サイコミュであることから、「ミノフスキー通信」に近い原理で、戦場に存在するミノフスキー粒子に直接働きかけているのだと考えます。

 ミノフスキー通信とは、ファンネルやビットといったサイコミュ兵器を遠隔操作する技術です。ミノフスキー粒子が散布された空間では、電子通信に一定の規則性を持った変調が起こります。サイコミュは、ニュータイプパイロットの脳波(感応波)を増幅して、コンピューター言語に変換。戦場に存在するミノフスキー粒子の立方格子振動を受信・増幅することで、ファンネルなどを操作しているという設定です(ミノフスキー粒子を散布しないと、ファンネルは使えないということです)。

 この「サイコミュによるミノフスキー粒子の直接操作」が、バイオセンサーによって発生しているのではないでしょうか。

 ちなみに、ミノフスキー粒子をIフィールドで極度に圧縮し、縮退させることでメガ粒子とし、発射するのがメガ粒子砲で、ビームライフルなども同じ原理のメガ粒子砲です。ビームサーベルは、縮退直前のミノフスキー粒子を柄から噴出させ、Iフィールドで囲んで刃を形成した武器とされています。

 ビームバリアもIフィールドで敵のメガ粒子砲を偏向させて、ビーム兵器の直撃を防ぐ兵器であり、どれもミノフスキー粒子をコントロールして望む効果を得る兵器と言えるでしょう。

 バイオセンサーでビームの出力が限界以上になったり、バリアーを展開したりできるのは、戦闘宙域に散布されているミノフスキー粒子を、パイロットの感性で直接動かし、武器強化やサイコ・フィールド(ビームバリアー)の原資として展開しているのではないでしょうか。

 なお、モビルスーツの核融合炉も、核爆発をミノフスキー粒子によって生じる立方格子で抑え込んで小型化しています。ですから、核爆発を封じ込めるミノフスキー粒子を、バイオセンサーが一時的に増やすことで、ジェネレーターの出力を限界以上に上げることが可能になり、エネルギー切れとなっていたはずのZZガンダムが、ハイ・メガ・キャノンを発砲できるようになったのかもしれません。

 ただ「本来の設計以上の性能を発揮する」というのは、兵器の設計側が想定していないことですから、武器やジェネレーターに相当な無理がかかっていると推測されます。実際、キュベレイと戦ったZZガンダムは、本来の出力以上でハイ・メガ・キャノンを発砲したことで、砲口が破壊されている描写があります。

 機体のメンテナンスを考えても、バイオセンサーが限られたニュータイプパイロット向けの機体にだけ普及したというのは、無理からぬことかもしれません。

 ただ「多くの死者の魂がカミーユやジュドーに助力する」部分は、バイオセンサーの働きではないと思われます。そこは「人類の革新」であるニュータイプが持つ、特殊なオカルト的感性によって実現していることなのでしょう。