大型トラックに装備されるリターダーとは?
リターダーの効果とは?
リターダーとは、トラックやバス等の大型車両に搭載される補助ブレーキのことです。エンジンブレーキや排気ブレーキ以上の制動力が得られ、高速走行からの減速時や、下り坂での速度を抑えるのに効果を発揮します。
また、リターダーの積極的な使用により主ブレーキの使用頻度が抑えられることで、フェード現象やベーパーロック現象の発生が抑制される他、ブレーキパッドの摩耗も抑えられることで、車両メンテナンスのコストを低減させる効果もあります。
リターダーは排気ブレーキに代わる補助ブレーキ
かつての日本国内においては、重量やコストの増加を理由に、リターダーを導入しているトラック・バス事業者が非常に少ないという現状がありました。
しかし現在では、世界的な排出ガス規制の流れによって小排気量の車両が多くなり、排気ブレーキの効果が大排気量の車両に比べて得られにくくなったことや、構造的に排気ブレーキを装備できないLPG(液化石油ガス)やCNG(天然ガス)で動くトラックが増えたことで、リターダーに注目が集まるようになっています。
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リターダーの種類と構造は?
リターダーの仕組みは3種類
リターダー(Retarder)には「遅らせる、妨げる」という意味があり、その仕組みは名前の通り、プロペラシャフトに負荷を与えて、回転を遅らせることで制動力を得ます。
また、その構造にも3通りの方式があるのです。
流体式リターダー
流体式リターダーは、シャーシに固定されているプロペラシャフトとステーターと一緒に回転するローターとの間をエンジンオイルやATF、水等の流体で満たし、ローターを回転させて発生した流体抵抗によって制動力を得ます。
流体の冷却方法は水冷式の場合が多く、空冷式に比べて発熱に対する許容量が大きい一方で、重量が重くて後付けが難しいというデメリットもあります。また、世界的に最も普及している方式でもあります。
電磁式リターダー
電磁式リターダーは、電磁誘導を利用して制動力を得る方式です。シャーシに固定された金属板と、プロペラシャフトと一緒に回転する電磁石で構成されます。
金属板に電流を流して磁場を形成し、電磁石が磁場の中を回転することで、金属の内部に渦電流を発生させ、電気抵抗をトルクの抵抗に変換することで制動力を得ます。
空冷式の場合が多く後付けも簡単ですが、水冷式に比べて発熱に対する許容量が小さく、電磁石を作動させるのにバッテリーやオルタネーターの強化も必要になります。また、作動していない時も走行抵抗が大きいという問題を抱えています。
永久磁石式リターダー
永久磁石式リターダーは、電磁式リターダーの電磁石を永久磁石に置き換えた方式です。小型・軽量でコストパフォーマンスに優れており、日本国内での主流になっています。
開発はいすゞ自動車と住友金属工業が共同で行っており、かつてはいすゞ車にしか装備されていませんでしたが、現在では他社のトラックにも装備されるようになりました。