好奇心をもって視点を変えてみると、おもしろい写真が撮れる
――中野さんは撮影するときに、心がけていることはありますか?
中野氏
生物が生息している環境が写真からわかるといいなと思っていて、環境情報を入れた写真をなるべく撮るようにしています。今回の受賞作品は、アートっぽい雰囲気で、今まで撮ってきた写真とは実は全然違うタイプなんです。
昨年くらいからフォトコンテストに作品を出すようになったんですが、今回JUPCに応募するにあたって、審査員の先生方の作風も少し見させていただいて。こういう写真ももしかしたら評価してくれる方がいるかもなと思って、出してみたんです。裏話になりますが(笑)。
――中野さんの意図が見事に審査員の先生に伝わったということですね(笑)。ところで、撮影後に現像するうえで、心がけていらっしゃることはありますか?
中野氏
実際に見た雰囲気や色を思い出しながら、現像しています。今回は少しアートっぽくしようと思ったので、現像段階でちょっと誇張はしましたけれど、普段はナチュラル志向です。水中写真は青被りしますが、自然に取り除く程度です。
――ズバリ、「水中写真がうまくなるコツ」はどんなことだと思われますか?
中野氏
とにかくたくさん撮ることだと思います。しかし、会社員ですので思うように海に行けないこともあるので、そんなときは写真展に足を運んだりして良い作品を見て、イメージを膨らませています。私は今まで独学で水中写真を学んできたので、機会があれば水中写真家の方のフォトセミナーにも参加してみたいと思っています。
また、水中は三次元なので、思ってもみなかった角度からの景色が、意外とシャッターチャンスだったりするように思います。好奇心を持って、いろいろな目線でシャッターを切ると、おもしろい写真が撮れるかもしれませんね。
――独学で学ばれてきたんですか! スゴイですね。やはり学生時代からダイビングを続けてこられていたから、海の中でどう動いたらいいか、潮の流れはどうか、どのへんに被写体がいるのかなどは、よくわかられていたのかもしれませんね。
中野氏
あまり何も考えてないかもしれませんが(笑)。カメラの設定を決めてから海に入るので、水中ではシャッターを押すだけで、細かいことはあまりしなくていいようにしています。その設定で撮れなかったら、諦めようという感じで。
奄美大島で撮影したザトウクジラ。アーティスティックな雰囲気の写真だ(写真/中野駿介氏)
――今後、どのように撮影に取り組まれていきたいですか?
中野氏
今後はジャーナリスティックな視点を取り入れた写真も撮っていきたいと思います。海の中には傷ついた生物などもいたりするので、今まではそういうものを撮るのはどうかな…と思ったこともありましたが、これからは撮っていきたいと思います。
中野駿介氏 Shunsuke Nakano
第1回JUPCで鍵井靖章賞を受賞した中野氏のインタビュー、いかがだったろうか? 水中写真を始めてわずか2年でフォトコン入賞を果たされた中野氏だが、今後どんな写真を撮られていくのか、とても興味をひかれた。好奇心をもって撮影することの大切さを、中野氏の言葉から感じた。
第2回「日本水中フォトコンテスト」の入賞作品が、4月6日に発表された。第1回に負けず劣らず、素晴らしい作品が揃っているので、こちらもご覧いただきたい。そして、第3回の開催概要も発表されている。グランプリの賞金は、なんと100万円!! ぜひ多くのフォト派ダイバーに皆さんに、フォトコンで腕試しをしていただきたいと思う。
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