【蓄電池機関車・高熱隧道~仙人谷】 過酷な工事現場として小説にもなった高熱隧道に潜入!

トンネル内の高さがないため蓄電池機関車の内部も低く、立つと頭がぶつかるほど

絶景を見た後は「欅平上部」に戻り、今度は蓄電池機関車に乗って高熱隧道に向かいます。高熱隧道は昭和11年(1936)から始まった黒部川第三発電所工事で最難関だった場所です。隧道には高熱の断層があり掘削時に岩盤温度が160度を超えたため、作業員に水をかけながら工事を進めたそう。ほかにもダイナマイトが自然発火し爆発、雪崩で宿舎ごと飛ばされるなど、過酷な現場としてドキュメンタリー小説にもなっています。

高熱隧道の岩肌は、硫黄が塊になってくっつき黄色味を帯びています

現在も隧道内は40度ほどあるため客車は耐熱式です。周辺には硫黄の臭いが立ちこめ、蓄電池機関車の窓もすぐ曇ってしまいます。窓の曇りを拭きながら隧道の壁を見てみると、黄色い硫黄がびっしりと付着し、岩が盛り上がっているのがよく分かります。

終点に近い場所で案内役の人が、「2002年NHK紅白歌合戦の中継で、中島みゆきさんがここで『地上の星』を歌いました」と、撮影場所を教えてくれました。

黒部川第三発電所に送水するため、戦前に建設された仙人ダム

「欅平上部」から約35分、高熱隧道を抜けると蓄電池機関車終点の仙人谷です。標高859mの鉄橋から険しい山々が迫る雄大な景色が見渡せます。手前に仙人ダム、その奥には落差165mの滝も見え雄大な景色が広がります。

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【黒部川第四発電所】 「黒部ダム」の心臓部ともいえる黒部川第四発電所を見学

部屋で映像を見ながら説明を聞けます。中央には黒部川流域のジオラマもあります

高熱隧道の終点・仙人谷で降り、仙人谷に架かる鉄橋を歩いて進むと黒部川第四発電所があります。立山連峰と後立山連峰に挟まれた黒部川の上流に位置し、豊富な水量を利用して水力発電が行われている「黒部ダム」の心臓部ともいえる場所です。国立公園内にあることから自然環境保護や、地形や気候、積雪、雪崩といった厳しい自然条件から守るため、発電所は地下に建設されています。発電所は内部見学が可能で、黒部川流域のジオラマがある部屋では、電力不足による電源開発の長い歴史を学ぶことができます。

岩盤をくりぬいて建設された巨大な発電機室も見学ができます

重量が12tもあるステンレス製のペルトン水車

ここでは、水力発電で実際に使用されている直径3.3mのペルトン水車が展示されています。水が流れる落差の力を利用し、1分間に360回も水車が回転するそう。昭和36年(1961)の運転開始から高度経済成長期の日本の電力を支えてきました。黒部川第四発電所は遠隔監視によって、ほぼ無人化されています。