ダイビングをするための健康条件

ダイビングは水中で活動するマリンスポーツということもあり、陸上で行うスポーツよりも健康状態に注意する必要がある。たとえば水深が深くなると体には水圧がかかるため、特に呼吸器系や心臓疾患などの病気を持っている人は細心の注意が必要だ。他にも、耳鼻科や循環器系の病気を持っていたり、薬を服用していたり、アルコールが体内に残った状態なのもNG。

ダイビングを行う前には、ダイビングショップやインストラクターから病歴や健康状態を確認するチェックシートへの記入が求められる。チェックシートで当てはまる項目があれば、医師の診断とサインをもらう必要があるため、もし事前にダイビングをすることがわかってたら、チェックシートを確認し、当てはまる項目や不安なことがあれば医師に相談することをすすめる。

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ダイビングの基本技術

体験ダイビングをしようと思っている方でも知っておけば損はない、ダイビングでの基礎となるスキルをご紹介していきます。

①マスククリア

写真:「完全無欠のマスククリア。意外と盲点のチェックポイントも~スキルアップ教室~」より

陸上では顔にフィットしていても、水中に入って顔を動かした際にマスクに水が入ってくることもある。他にも一緒にダイビングをしている仲間のフィンがマスクに当たって、マスクがずれて水が入ってきたりなんてことも。少しの水の量であればそのままでも問題ないかもしれないが、視界を遮るほどの水が入ってくると快適性や安全性を損なうことにもなる、そこで、マスククリアをしてマスクから水を出すことが大事になってくる。

口から息を吸って、マスクの上部を軽く手で押さえ、やや上を向きながら鼻からゆっくり息を吐く。鼻から出す息を使って、マスク内の下に溜まった水をマスク外に押し出すイメージ。1回で十分なマスククリアができなかったら、繰り返しやってみよう。

②耳抜き

水深を下げていくと水圧が増していき、鼓膜が内側に曲げられて耳に圧迫感を感じる。これを解消するために耳抜きをしなければならない。ほとんどのダイバーが教わる方法が鼻を摘んで息を吐くバルサルバ法。そうすることで「プシュ」という音とともに鼓膜が通常の位置に戻り、耳の圧迫感から解放される。圧迫感をとおりり越して痛みを感じてから行うのでは遅く、その時点では鼓膜を損傷する可能性もある。だからこそ、ダイビング中は耳に少し圧迫感を感じた段階で耳抜きをすぐに行おう。

スマートな耳抜き-DANスマートガイド 耳抜き編-

③フィンキック

ダイビングで水中を移動するために必要なフィンキック。足を上下に動かすフラッターキック(バタ足)や平泳ぎのように足を左右に動かすフロッグキック(あおり足)が主なもの。どちらのキックも効率よく推進力を得るために足で水を捉える感覚を大事に、大きく動かすことを意識する。

フロッグ・キック ~最も効率よく“泳ぐ”ことができる “フィンキック”~

④ハンドシグナル(水中でのコミュニケーション)

ハンドシグナルとは、言葉が話せない水中で手を使ってコミュニケーションを取る手段。ダイビングではさまざまな場面に遭遇する。何かトラブルが発生したり、次の行動を仲間に示したり、珍しい生物に遭遇したり。そんなさまざまな場面で自分の意思を伝えるために、「OK」、「耳抜き」、「異常あり」、「浮上する」、「潜降する」、「寒い」といった基本のハンドシグナルを使えるようにしよう。

⑤中性浮力(浮力のコントロール)

中性浮力とは水中でバランスよく、安定してホバリング(一定の水深で静かに浮いている状態)すること。具体的にはプラス浮力(浮こうとする力)とマイナス浮力(沈もうとする力)がちょうどバランスを取って、浮きも沈みもしない状態ともいえる。中性浮力をとることができると、シリンダーに入っている空気の消費を抑えることができたり、水中ならではの気持ち良い浮遊感を体感することができる。以下の3つを意識しよう(※4)。

ウエイトの調整

ウエイトが重すぎると、BCに余分に空気を入れる必要があり、そうするとBCの中で空気が移動してバランスを取るのも難しくなる。逆にウエイトが軽すぎるとそもそも潜降することができない。

BCでしっかりと浮力を調整する

水中で体を横(水平)にして体勢を整えたら、BCに空気を短く何回かに分けて給気し浮力を調整。浮き過ぎた場合は、適度にBCから空気を排気。

呼吸で浮力の微調整

空気を吸うと肺が膨らむことで浮き、空気を吐くと肺が縮まり沈む。このときもタイムラグがあるが、その感覚を掴むことも大事。

【中性浮力が苦手なダイバー必見!】コツを掴んでダイビングのスキルアップ

※4:体験ダイビングの場合は、浮力の調整(ウエイトの調整やBCの操作)をインストラクターが行うことがほとんど