スーパーフォーミュラ第7戦【モビリティリゾートもてぎ】野尻智紀が完勝で今季2勝目!チャンピオン争いは三つ巴の様相に

多重衝突で赤旗中断など、荒れた展開に

迎えた決勝日も気温30度を超える暑いコンディションとなったが、レース開始直前には雨雲が発生。しかし天気が崩れることはなく、決勝はドライコンディションで行われた。

ポールポジションの野尻が好スタート。一方2番グリッドスタートの太田はギアが1速に入っておらず大きく後退してしまう。太田の直後、4番グリッドの大湯はこれを難なく交わし3番手にポジションアップ。

3番グリッドスタートのローソンが2位に上がり、1コーナーから2コーナーにかけてアウト側から野尻に並びかけるが、外側の縁石に乗ってしまいコントロールを失ってスピン。そこに避けきれなかった後続車が接触し多重事故が発生してしまう。牧野と関口はローソンのマシンに乗り上げ宙を舞い、行き場をなくした松下信治(B-Max Racing Team)のマシンに降りかかる。このアクシデントですぐさま赤旗が掲示された。その後ドライバーは全員無事が確認されている。

スピンを喫し後続車に追突されてしまったローソンはリヤウイングを失う。ピットに戻ったローソン、赤旗中断中に修復作業を済ませたチームMUGENはローソンをレースに送り出すことに成功。最後尾で隊列に加わったが、赤旗中にピットインしたことでドライブスルーペナルティが科されることに。牧野、関口、そして松下らはマシンのダメージが大きくリタイアとなった。

SC先導で再開されたレースは4周目にリスタート。トップの野尻に続くのは大湯、そして予選7番手から平川が混乱の中3番手にポジションアップ。10周目にピットウインドウがオープンと同時にピットストップを敢行するドライバーが現れる中、トップの野尻をはじめ、平川、山本はステイアウトするが2番手大湯はピットイン。ピットイン消化勢の中でトップを走る。

レース後半に差し掛かった24周目、山本がピットイン。山本にアンダーカットを決めさせないようにトップの野尻も翌周ピットインすると、コース復帰した場所は大湯の前。野尻はトップの座を明け渡すことなく先頭を直走る。

野尻、大湯の後ろで白熱するのは3位争い。27周目の90度コーナーでアウトラップの平川を山本がインに飛び込みオーバーテイクを狙う。しかしブロックに動いた平川と止まりきれなかった山本が接触。平川はマシンを立て直しコースに復帰するが、山本は左フロントのサスペンションを痛めリタイアとなってしまう。この接触に関してレースコントロールでは山本に責任があると判断。山本には黒白旗が出されている。

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野尻が今季2勝目!ランキングトップ宮田に10ポイント差にまで接近

スタート直後の赤旗があったが、レースは予定していた37周を完遂。トップの野尻は2位以下に大差をつけてトップチェッカーを受け今季2勝目を挙げた。2位には大湯を交わした平川、3位の大湯は今季初表彰台を獲得。そしてランキングトップの宮田が4位、ランキング2位のローソンはノーポイントに終わり、野尻は一気にチャンピオン争いに復帰することとなった。宮田とは10ポイント差、ローソンにはわずか2ポイント差にまで接近し、最終戦鈴鹿のダブルヘッダーでの逆転を狙う。

野尻が逆転チャンピオンに望みを繋げたレースとなった第7戦。TEAM MUGENの同士討ちになりかねないバトルもあり、緊張感が高まってきた今シーズンも残りわずか2戦(鈴鹿でのダブルヘッダー)となった。

野尻からしてみれば、後がなく勝つしかない状況。ローソンとのバトルを引くわけにはいかない。ローソンにとっても今大会の野尻の好調さを知っているだけに、チャンスはスタート直後の1~2コーナーしかなかったのかもしれない。両者の思惑がぶつかり合ったスタートは、結果的に野尻に味方した。20ポイント以上差をつけられていた状況から、一気に差を詰め10ポイント差とした。

一方、ランキングトップの宮田も不得意なサーキットでしっかりと上位でフィニッシュしランキング首位の座を守った。レースの展開により後方からの追い上げを強いられながらも、レースペースの良さとタイヤ交換を遅らせるストラテジーにより4位まで挽回。今回は野尻のインパクトに隠れてしまったが、宮田にとってこれ以上ない結果となったことだろう。

鈴鹿、第8戦と第9戦は10月の鈴鹿で行われる。計算上はランキング4位の平川とランキング5位の坪井にもチャンスが残っているが、チャンピオン争いは実質的に宮田、ローソン、野尻の3名に絞られた。

圧倒的なチーム力とマシンのポテンシャルを誇るが、2名のタイトルコンテンダーを抱えるTEAM MUGEN。一方、初優勝から勢いに乗り、着実にポイントを重ねランキング首位に立っている孤軍奮闘の宮田。近年見られなかった三つ巴のチャンピオン争いはどのような決着となるのだろうか。10月の末の鈴鹿最終決戦が待ちきれない。