山に向かう人の「想い」を撮りたい|フォトコン2022大賞:岩崎正代さん

山だけじゃなく、山へ向かう人の「想い」も撮りたい

剱岳山頂から

―写真を始めたきっかけは?

岩崎:山仲間のみんながかっこいい写真を撮っているのをSNSで見て、自分も撮りたくなってカメラを買いました。それが1年前。だからまだまだ初心者です。

実は夫がカメラマンなんですけど、彼はぜんぜん山をやらないんです。たまにカメラのことを聞くんですが詳しくは教えてくれなくて、「とにかく数を撮れ」と言われます。

―では、写真は独学でしょうか?

岩崎:SNSでつながっていた山岳自撮り写真家・sh1nくんと一緒に山に行くようになってから、少し教わったりもしました。

ただ、何から何まで教わったわけではないです。写真で表現したいこととか、大切にしている価値観とか、そういうマインドの部分を聞くと影響を受けちゃって自分らしさが混乱すると思うので……。あくまでカメラの設定など、技術的なことをちょっと聞くくらいにしています。

―岩崎さんが写真において大切にしていることはなんでしょうか?

岩崎:山だけじゃなく、山に向かう人、その人の「想い」を撮りたいと思っています。なにかしらの想いを感じたとき、自然とカメラを向けているというか。だから、山を歩くときはいつも同行者からちょっと離れて歩くんです。「撮るよ」と言って撮るんじゃなく、私が撮りたいと感じた瞬間に撮る。

最近、自分の撮る写真が変わってきた気がします。カメラを持ったことで、遠くの景色まで写ったり、遠くにいる人が鮮明に写ったり。以前はそこまで意識せずに撮っていたんですが、最近は構図とかも気にするようになってきました。

―岩崎さんの中で、変化があったんですね。

岩崎:ほかにも、写真に対する考え方が変わった出来事がありました。昨年の秋に山岳写真グループ・JazzySportの合同写真展『山ノ革命』を観たんです。三人展だったんですが、お三方のそれぞれに個性的な作品を観たとき、全身の細胞が震え、まるで自分がその山にいるような感覚になりました。どうしたらこんな写真が撮れるんだろう、って……。私もいつかこんなふうに、自分が見た山の景色を「自分だけの作品」にしてみたいと思うようになりました。

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ジャンダルムに惹かれる理由

ジャンダルム

―山のお友達とはどのように出会っているのですか?

岩崎:SNSで親しくなって、一緒に山に行くようになって……って感じですね。InstagramやYAMAPで出会った山友達が10人くらいいます。登山のスタイルや、山への考え方が似ている人たちと仲良くなりますね。

―今まで撮った写真の中で、自信作を紹介してください。

岩崎:最近撮った写真の中で特に好きなのは、ジャンダルムとsh1n君。あと、秋の日の入りのジャンダルムとMadoka.ちゃん。私はやっぱりジャンダルムが好きみたいですね(笑)。

秋の日の入りのジャンダルムとMadoka.さん

―ジャンダルムの魅力はどういうところでしょう?

岩崎:やっぱりあの独特の形と、天空にいる感じですかね。あのトゲトゲの岩々した感じがかっこいい。でも、本当はもっと違う理由でジャンダルムに惹かれている気もするんです。その理由が何かは、自分でもわからないんですけど。

厳冬期のジャンダルムとsh1nさん

―今後、行ってみたい山はありますか?

岩崎:行ったことあるけど、剱岳にまた行きたいです。同じ山を、ルートを変えて登るのが好きなんですよ。今まで登った好きな山を、たとえば沢から登るとか、違う尾根から登るとか。好きな山を別の角度から楽しみたいです。

―今後、撮影したい景色はありますか?

岩崎:まだ撮ったことがないので、星空を撮りたいです。今回のフォトコンの賞品で三脚をゲットしたので、さっそく撮ってみたいと思います。穂高や剱岳などの岩々した山にかかる天の川や、星空の下で山に向かっている人など、険しさと美しさと人の写真を撮りたいです。

*(雪山初心者の方へ)雪山の撮影に行く場合には、ガイドや指導者の講習を受け、レベルに応じた山で経験を積んでから、ステップアップするようにしてください。

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