実はネガティブな気持ちを引きずったまま大会は開始。結果はいかに!?

ではここから、本題の大会レポートをしていこう。本大会の会場は、八丈島の高台にあり、その名の通りロビーや客室から素晴らしい眺めを一望することができるホテル「八丈島ビューホテル」に併設する屋外の25mプールだ。私にとって、屋外での大会も、25mプールでの大会も初めてだ。屋内の大会とは違い、開放感がありとても気持ちがいい。

八丈ビューホテル

ホテル併設の屋外25mプール

「Blue Arch CUP」開催には島民の協力があった


プールの貸切費や設営費スタッフの人件費などフリーダイビングの大会開催には、多くの費用がかかるという課題がある。しかし、そこは島ならではの助け合いや地元愛の精神によって集まった八丈島中の建設会社や飲食店、ダイビングショップなどからの協賛で賄うことができている。

今となっては、フリーダイビングの認知度も高まりつつあるが、数年前はまだフリーダイビングの知名度がほぼない状態で、協賛を集めるのもそう簡単ではなく、Blue Arch CUP実行委員長のメンバーが地道に企業を訪問しフリーダイビングの説明から大会の紹介まで行った。

どの企業も、「フリーダイビングの大会を通して八丈島を好きになってくれるかもしれない」、「大会後も再び訪れてくれるかもしれない」、そんな思いで快く賛同してくれている。今大会は、八丈町と八丈島観光協会が後援についている他、なんと67社が協賛。こうした働きかけもあり、フリーダイビングを応援する島民も増えてきている印象があるという

AM9:30、参加選手は入口で受付を行っていく。

手作りの顔出しパネルも

選手たちが競技をする間の安全管理を行うセーフティーも島内外から集結。選手たちよりも前入りして、万が一選手がブラックアウトしたときのシュミレーションなどを行う。

セーフティーチーム

選手のパフォーマンスに違反がなかったかを判定するジャッジも準備万端だ。

ジャッジチーム

選手たちも続々と会場に集まってきた。本大会には、27名の選手が参加する。

選手控え場所

AM10:30、開会式が始まった。天気にも恵まれ、気持ちのいい青空の下、実行委員長の歩さんから挨拶がされた。

開会式

実行委員長の歩さん

開会式が終わると選手たちはウォーミングアップを開始。本大会で私は、過去に出場してきた種目と同じDYNB(2枚フィンで並行潜水できる距離を競う種目)に出場する。

大会ではチームメイトやバディがいればウォーミングアップでタイムを測りあったり、お互いにサポートすることができる。しかし、今回私は単身ひとりで大会に臨み、特に練習をともにするチームメイトなどはいなかった。先輩フリーダイバーがそんな私が1人でいることを察し、私の競技が終わるまでのサポートを申し出てくれた。なんて優しいのだろう。フリーダイバーの懐の広さや暖かさを痛感し、フリーダイビングという競技がまた好きになった瞬間でもあった。

ウォーミングアップも終え、私の出番がやってきた。

大会出場4回目にもなると、ウォーミングアップや最大限にパフォーマンスを発揮する方法などはまだまだ手探りな部分が多いが、大会の流れや潜水前の緊張感は掴めてくる。ただ今回の大会は25mプールということもあり、50mプールと比べるとターンの数が倍になる(※)。無意識でも理想のターンができるほどに、練習が詰めていないので、不安要素もあった。正直、今回の大会での自分の気持ちはネガティブな割合が多く占めていた気がする…。

※フィンを付けていると壁を力強く蹴ることができないので推進力を得ることはできない。つまりターンがあればあるほど酸素を消耗する。逆にフィンを付けない種目だとターンがあるたびに壁を蹴ることができ、推進力を生み距離を稼げるため、有利だという選手もいる。

そんなことを考えながら、公式アナウンスによるカウントダウンがスタート。

息を大きく吸い、潜水開始!

「50mプールと違い、やっぱりターンが多いな…」

「自分の自己ベストである132mを超えられないかもしれない…」

泳ぎながら、いつも以上にいろいろな思いが頭をよぎってしまった気がする。

125mのターンをし、少し泳いだところで浮上。果たして結果は…。

133mでホワイトカード(パフォーマンスに違反はなく記録認定)!

1mだけだが、自分の自己記録を越えることができ、安堵した。サポートしてくださった先輩フリーダイバーも祝福してくれた。

世界大会に出場するため、150mを目標にしているが、そこには及ばずだったが、今の自分にできる最大限のことは発揮できたと思う。

大会に出場し始めてまだ1年も経ってないが、「何でこんなに苦しいことしてるんだろう」と思うときもある(笑)。他のスポーツと違い、自分の体や心の状態に集中し、自分の限界にギリギリに挑む特殊な競技だとしみじみ感じる。しかしその分、他のスポーツでは味わえない心地よさや、感じたことのない自分の体の感覚、競技後の何とも言えない達成感、そして仲間との深い関わり合いがある。その感覚を一度味わうと、もっと深く味わいたいと思ってしまうのだろう。

緊張から解放され、笑顔に

全種目終了後には、閉会式が行われた。

ここでも八丈島ならではの仕掛けが。成績優秀者へ贈られる賞品がなんと島焼酎なのだ(笑)。メダルももちろん嬉しいが、これはこれで嬉しい。

島焼酎の裏には大会オリジナルの刻印が

成績上位の選手や、成績上位だった選手のそのバディ、サーフェスプロトコル(浮上後のジャッジへのサイン)の笑顔を素晴らしかった選手など、ユニークな表彰項目も用意されたが、残念ながら私は今回受賞ならず。また次回、焼酎獲得のためにも頑張りたい(笑)。

大会全体を通して、雰囲気の良さが印象に残った。急に会場全体が炎天下になったり暴風雨に見舞われたりと変化の激しい屋外だからこそなのか、会場には張り詰めた空気感もなく、アットホームな雰囲気で、とても居心地が良かった。来年の開催については、これから考えていくそうだが、もし来年も開催するのであればぜひ参戦したい。

私個人としては、次回は12月に東京の辰巳国際水泳場で行われるプールの大会への出場を予定。引き続き応援よろしくお願いいたします!

「第5回 Blue Arch CUP 2022」の詳細な結果は「Blue Arch CUP」公式Facebookをチェック。


︎https://www.facebook.com/bluearchcup

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5G・データセンター・宇宙開発から、スマートフォン・3Dプリンティングまで、未来に向けて必要な製品を供給する電子部品メーカー。“Work Hard Play Hard”をモットーに、仕事だけでなくプライベートの充実も追求。わたくしセリーナが就活してたときに社風や社長の雰囲気に惹かれて入社した、前職でもある。


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