②ナンバー取得前に行う予備検査とは

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ナンバーのない車に対して行う車検も予備検査と呼ばれます。ナンバーのない車は新車だけではありません。中古車でも、一時抹消登録などでナンバーのない車も存在します。そのような車に対し行う車検の一種です。

この場合の予備検査は仮車検と考えてOKです。正規の車検と同じ検査を行います。予備検査に合格すると、「自動車予備検査証」が発行されます。そして有効期間が3ヶ月しかありません。3ヶ月を過ぎる前に車両登録を行う必要があるのです。

このように、予備検査は仮として行う検査なので正規の車検証は発行されないなど、違いはあります。では、一般の人が予備車検を利用する場面とはどういったタイミングなのでしょうか。

どのような場面で必要?

例えば、家にずっとあった一時抹消登録をしていた車検の切れた車をまた乗ろうとした場合や、そのような車をヤフオクなどで売買したときなどです。

個人売買で予備検査をする義務はありませんが、親切心で検査を終わらせておく方もいるでしょう。購入後に車検を受けなくてもいい状態になるので、購入者には嬉しい対応です。

また、中古車販売店であれば予備検査を行い、車検をする必要がない車の方が売れたりします。このようなメリットを設けることで、予備検査を受けておくといったこともあるでしょう。

このように、予備検査は一定の利用者がいるのですが、この記事では個人で予備検査を受けることを条件として記載しています。

予備検査の必要書類

予備車検で必要な書類は、ユーザー車検とは異なります。事前に用意すべき書類と、当日、車検場で用意する書類の2種類に分けご紹介します。

事前に用意すべき書類

  • 登録識別情報等通知書or自動車検査証返納証明書(軽自動車と普通車で呼び名が変わる)
  • 譲渡証明書
  • 点検整備記録簿
  • 印鑑

「登録識別情報等通知書」と、「自動車検査証返納証明書」は同じ意味合いを持つ書類です。軽自動車と普通車で呼び名が変わるので両方を記載しています。

この書類は、一時抹消登録をしているという証明です。必ず必要なので事前に用意しておきましょう。また、点検整備記録簿も必要書類ですが、ユーザー車検同様、後日整備することで省略できます。

ユーザー車検との違いは、自賠責保険などの書類が必要ない点です。予備検査ではナンバーを発行しないので、まだ公道を走らないためこれらの書類が省略されています。

車検場で用意するもの

  • 自動車検査票(軽自動車検査票)
  • 申請書

この書類は予備検査の申請をするために必要だったり、検査ラインで必要になってくる書類です。車検場で白紙の書類を渡されるので、必要事項を記入して提出しましょう。

大まかにはこのような形ですが、車によっては必要になる書類が増えることがあります。例えば、代理で予備検査を受けるなら申請依頼書、リコール対象車なら改善処置済証などです。

その点は、自分の車の状態を考えて、事前に車検場に問い合わせるなどして揃えるようにしましょう。

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予備検査の費用

予備車検の費用を大まかにお伝えすると1台あたり1800円〜2200円です。詳細は以下のとおりです。

【軽自動車】

検査手数料 技術情報管理手数料 合計
1,400円 400円 1,800円

【普通車】

車の大きさ 検査手数料 自動車技術総合機構への手数料 合計
普通車 400円 1,800円 2,200円
小型自動車 400円 1,700円 2,100円

※車検時の法定手数料は令和3年10月に変更されています。従来よりも400円ほど値上がりしているので、古い料金表との金額差にご注意ください。

陸運局へ持ち込んでの予備検査では公道を走れない

予備検査はナンバーのない車しか検査を受けられないので、当然、公道を走って車検場へ向かうことができません。

そのため、車検場へ持ち込む場合、この2つのどちらかの手段を取りましょう。

  • 積載車を用意して車検を受ける車を運搬
  • 仮ナンバーを取得して一時的に公道を走る

また、予備検査が終わったとしてもナンバーを発行するわけではないので、来た方法と同じ方法で帰らなければなりません。ナンバーがない状態で公道を走るのは違法です。

このことを知らずに、検査当日にバタバタしないためにも、しっかりと準備しておきましょう。

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予備検査を個人で行うメリットはあまりない

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個人で予備検査を受けるメリットはあまりありません。予備検査とは本来、車を販売している会社が利用する検査だからです。

予備検査を事前に行えば、車両登録時に車検を省けます。つまり何台もの車を所有する会社が、登録作業をスムーズに行うために予備検査を受けるのです。

そう考えると、個人間の売買であったとしても予備検査を受ける必要はないように思います。ナンバーがないため、公道を走れない手間が増えてしまうといったデメリットまで出てきます。

ユーザー車検と名義変更は同時に行えるため

ユーザー車検と名義変更は同時に行えます。そのため、仮に一時抹消登録をしていてさらに車検が切れている車の売買をしたとしても、1度車検場へ出向けばどちらも行えるのです。

ナンバーの発行も希望ナンバーなど、特別な事情がない限り当日で完了します。わざわざ予備検査をするメリットはあまりないと考えられます。

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