2022年現在、自然吸気エンジンでもターボでも、あるいはハイブリッドやモータードライブであろうと、車の基本は「低回転トルク重視の効率型」がほとんどです。

しかし日本車黄金時代と回想される1990年代には、「とにかくブン回してパワーを稼げ!」とばかりに高回転高出力型エンジンが多数登場し、可変バルブタイミング&リフト機構の恩恵によって、パワーと(当時としては)環境の両立に成功していました。

自然吸気エンジンですら「リッター100馬力を超えねばスポーツエンジンにあらず」と言われたあの頃、高回転高出力の代表格だったテンロクスポーツの名車を紹介します。

三菱CJ4A ミラージュ サイボーグZR/アスティRX(1995年)

三菱CJ4A ミラージュアスティRX

ライバルのホンダ シビックにカタログスペック面で後塵を拝した三菱 ミラージュが、175馬力の4G92でテンロク最強を誇るようになったのは4代目マイナーチェンジ後の1992年から。

1995年に登場した5代目も、エンジンスペックでは後述するシビックタイプR登場まで最強、3ドアハッチのサイボーグ、2ドアクーペのアスティともに各部を簡素化or強化した激安モータースポーツベース車の「RS」をラインナップするなど、テンロクスポーツの定番でした。

ただし「半ベック」とも呼ばれた可変バルブ機構MIVECの不調や、走行安定性、その他細々としたトラブルが多く、シビックほどの定番になり得なかったのが惜しまれます。

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ホンダEK9 シビックタイプR(1997年)

ホンダEK9 シビックタイプR

スペック上はライバルへ一歩譲るようになったものの、4輪ダブルウィッシュボーン独立懸架サスなど、総合的な実力でNo.1の座を譲らなかったシビックへ、NSXやインテグラに続く「究極モデル」としてデビューさせたのが、EK9型初代タイプR。

三菱4G92の175馬力はもちろん、それまで1.6リッター最強スペックを誇ったいすゞ4XE-1ターボ(ジェミニ イルムシャーR用)の180馬力すら上回る185馬力を発揮。究極のテンロクスポーツエンジンB16Bが、ついにターボエンジンすら超えた瞬間でした。

ボディなど各部も補強を受けた最強マシンは、その後も現在まで90年代型テンロクスポーツ最強モデルとして君臨しています。