2024年4月13日より放送が始まった、アニメ『黒執事 -寄宿学校編-』。アニメ化6作目となる本作に登場する新キャラ、名門寄宿学校ウェストン校の4人の監督生(プリーフェクト)・通称「P4(プリーフェクト・フォー」を演じる渡部俊樹さん(エドガー・レドモンド役)&榎木淳弥さん(ロレンス・ブルーアー役)&武内駿輔さん(ハーマン・グリーンヒル役)&橘 龍丸さん(グレゴリー・バイオレット役)にインタビュー!

19世紀英国。名門貴族ファントムハイヴ家の執事セバスチャン・ミカエリスは、13歳の主人シエル・ファントムハイヴとともに“女王の番犬”として裏社会の汚れ仕事を請け負っていた。ある日、シエルの元に女王から英国屈指の名門寄宿学校・ウェストン校に通うデリックほか複数人の生徒が音信不通になっているという手紙が届く。セバスチャンとシエルは、事件を調査するためにウェストン校に潜入する――。



紫寮は4つの寮のなかで一番部屋が汚そう

――『黒執事』もしくは今回の『寄宿学校編』への印象を教えてください。

渡部俊樹(以下、渡部):

『黒執事』はもともと好きな作品で、原作の漫画も全部持っていました。初めてアニメを見たときに「こんなにおしゃれな作品があるんだ!」と思ったのを覚えています。ブリティッシュ系のファッションが好きなのもあり、世界観を含め心に刺さった作品です。『寄宿学校編』では制服のスラックスの千鳥柄がお気に入りです。

榎木淳弥(以下、榎木):

声優になる前から知っている作品だったので、時を経てこうやって自分が関わらせてもらうことになるとは思いもしませんでした。『寄宿学校編』への参加が決まってからしっかり原作を読んだのですが、やっぱり「あくまで執事ですから」の台詞はすごいですね。絵もきれいですし人気もすごいので、女性向けなのかなと思ったのですがミステリーな部分も面白くて。性別問わず幅広い方に愛されている理由が分かった気がしました。

武内駿輔(以下、武内):

僕もアニメはⅡ期あたりが直撃の世代なので、周りにも『黒執事』の漫画を読んでる、アニメを見ているという友達も多くて。僕自身、Ⅰ期やⅡ期をアニメで見ていて衝撃だったのがキャラクターデザイン。枢やな先生の描くキャラクターって色使いはシックなのに、ものすごく印象に残るんですよね。キャラクターに奥行きがあって。イラスト自体は華やかだったり幻想的ですが、ひとりひとりが人間として現実的で泥臭い部分を感じるんです。そういうギャップも含めて楽しませてもらっていたので、その世界に自分が表現者として関われることにやりがいを感じました。

橘 龍丸(以下、橘):

きれいな世界観のなかにグロテスクさもありますよね。元々は姉の影響で見ていましたが老若男女問わず楽しめる内容になっていて。事件解決に向けてのシリアスパートがありつつ、個性豊かなキャラクター同士のやり取りも見ていて気持ちいいです。クスリと笑えるシーンもバラエティにとんでいて、こんなにハマると思わなかったというくらいずっと見続けていた作品なので『寄宿学校編』が始まるときも一視聴者として楽しみにしていました。まさか自分がそこに関わることになるとは……。精一杯やらせてもらいながら、P4も新しい『黒執事』の風になっていきたいと思って演じています。

――今回の『寄宿学校編』で皆さんが演じるキャラクターについて教えてください。

渡部:

エドガー・レドモンドは「P4(プリーフェクト・フォー)」のイケメン4人のなかでも美しさが目立つキャラクターです。高貴で格式高い家柄の生徒しか入れない「深紅の狐(スカーレット・フォックス)寮」の監督生ということで上品さもあり、それが嫌味じゃない。台詞なんかも謳う感じで演じさせてもらったりして、飛びぬけてナルシストな感じはありますが、バランスのいいキャラクターだなと思っています。

榎木:

僕が演じるロレンス・ブルーアーは、勉学が得意な「紺碧の梟(サファイア・オウル)寮」の監督生で、頭がいいため校則にも厳しくて最初はシエルに注意をしながら登場します。演じていくうちにただ単に厳しいのではなく、彼なりの学校への思いや他者への優しさが厳しさに現れていたんだなとも思って。最初は人を寄せ付けない冷たい部分が目につきますが、段々と人間らしい人情味みたいなものが見えてくるのが彼の魅力ですね。

武内:

ブルーアーが規則に厳しいなら、「翡翠の獅子(グリーン・ライオン)寮」の監督生を務めるハーマン・グリーンヒルは倫理観に実直なイメージ。この学校の生徒として規則もそうですが、行動や振る舞いの理想像がしっかりしている人物です。P4のなかでは“動き担当”で、自分に対しても他人に対しても厳しくて真面目なところが魅力なキャラクターです。

橘:

「紫黒の狼(ヴァイオレット・ウルフ)寮」の監督生グレゴリー・バイオレットは、P4のなかで一番の変人……という(笑)。ちょっと変わったキャラクターですが、彼は彼なりにひとつのものを極めた結果、ああいう感じになったのだと思って演じています。オーディションのときから、声を張ったりガッツリ抑揚をつけたりということはしないようにしましたが、アフレコのブースに入ったとき、音響監督の(明田川)仁さんから「もっと音にしなくていい」「もっとやらなくていい」という演出が入って。僕が思っていた以上に内に入っているんだなと感じました。

その理由なんかも自分のなかで勝手に突き詰めて演じてみました。彼は彼なりに俯瞰でまわりを見ていることもあるので、意外と大人な部分もあるんです。ただ、誰よりも子供でもあるかもしれない、一番何を考えているか分からないミステリアスなキャラクターだと思います。

(広告の後にも続きます)

青寮は基本みんな眼鏡をかけているかもしれない…

――皆さんが演じるキャラクターが監督生を務める寮について教えてください。

渡部:

「深紅の狐寮(通称・赤寮)」は高貴な身分の人たちが集まっている寮なのですが、地味に問題の多い寮でもあるんです(笑)。

全員:

あははは!(笑)

渡部:

なんだかんだ、ストーリーのなかで問題を起こしているのは赤寮の誰かということが往々にしてありまして……。「本当に高貴なのか!?」と思うこともありますが、在籍している子たちは見た目もとても美しくて、僕が演じるエドガーを含めブロンドの子が多いです。高貴さと美しさに特化した寮です。

榎木:

「紺碧の梟寮(通称・青寮)」は勉学が得意な生徒が集まっているので、勉強自体はできるけれどみんな運動がダメで……。スポーツをするシーンが出てきたりもするのですが、めちゃめちゃ弱いんですよね。ガリ勉タイプが多い印象です。青寮ではブルーアーの寮弟のクレイトンというキャラクターも活躍をするのですが、そのクレイトンも眼鏡をかけているので、もしかしたら青寮は基本みんな眼鏡をかけているのかも……(笑)。

橘:

眼鏡率高め!(笑)

武内:

コンタクトいなさそうだもんね?(笑)

渡部:

コンタクトまだ時代的にない(笑)。

武内:

「翡翠の獅子寮(通称・緑寮)」は見るからに体育会系というか、武道やスポーツに秀でた生徒たちが多いということで、一番学生らしい寮だと思います。分かりやすく等身大の生徒たちがいて、クリケットのシーンもみんなで喜びや悲しみを分かち合う、一体感のある感じがフィジカル面から感じられる寮ですね。

橘:

「紫黒の狼寮(通称・紫寮)」は変人の集まりです(笑)。一芸に秀でていれば認められる寮なので、何よりも個性が大事。それぞれがそれぞれの世界観を強く持っているので、周りが何をやっていても自分が集中しているもの以外は見えていない生徒も多いんじゃないかな。自分たちの寮に対しての愛情やプライドはしっかりありますが、4つの寮の中で一番寮内が汚そう。掃除とか行き届いていない気がします(笑)。

――アフレコ現場、お芝居での掛け合いはいかがでしたか?

全員:

楽しかった!

武内:

芝居感も似た性質というか、好みが似ている印象があった気がするけどどうですか?

榎木:

『黒執事』という作品の演技の方向性が、デフォルメしてキャラを立てていくという方向でもあったので、みんな一致してなるべくキャラを立てつつ会話をしていたから。ただ、P4で会話をしてるんだけど、かみ合っているようでかみ合っていないみたいな感じもあったよね。声ちっちゃい人もいるし(笑)。

橘:

バイオレットの声、絶対聞こえてないだろ~みたいなね(笑)。

榎木:

ブルーアーとレドモンドはちょっと言い争いみたいになっていたり。バラバラな感じもありましたが、4人での隠し事というか企みがある共有感もあって、その辺はチームワークよく演じられたんじゃないかと思います。

渡部:

P4で話すシーンなんかもあって、楽しかったなとしみじみ思い出してました。

武内:

4人だけのシーンってそこまで多くないから、貴重な時間でしたよね。

渡部:

「本当に自分がP4の1人になったんだなぁ」と少し実感が湧いた瞬間でもありました。

――そんなP4に関わってくる、シエルとセバスチャン(ミカエリス先生)の印象は?

渡部:

シエルの毒づき方が個人的に好きなんです。セバスチャンとのやり取りがまた良くて。今回のアニメはかなり原作に忠実なので、絵が動いて声が入って立体的になっていく様子を目の前で見せてもらって「あぁ、これぞアニメ『黒執事』だな」と思いました。

武内:

今回はシエルが必死に頑張るじゃないですか。セバスチャンの主人という立ち位置ではありますが、セバスチャンに翻弄されつつも自分の使命に対して必死に努力していく姿は等身大の少年らしさもあって、今回改めて魅力的だと思いました。逆にセバスチャンは今回も掴みどころがなかったというか、実体があるようでない感じ。本当に存在していたのかも怪しくて、こういう雰囲気って他の作品でもなかなか感じられないものなので、本当に素晴らしい存在。セバスチャンはどこにでもいるし、どこにでもいない感じでした。

橘:

年月が経っても変わらない味っていいなと思いました。長く続いている作品だからこそ、久しぶりにアニメになったときに成長した部分はありつつ、変わらない“老舗の味”みたいなものがあって。セバスチャンとシエルのやり取りを見たり聞いたりしていると「『黒執事』帰ってきたんだ!」という感じで気持ちがアガりました。

榎木:

セバスチャンとシエルのやり取りにはこう、絶妙な“イチャイチャ感”があって(笑)。

渡部・武内・橘:

そうそれ!(笑)

榎木:

あの距離感が面白くて。お互いに別に好意を示しているわけじゃないんですけど、なぜかイチャついているように見えるふたりというのは『黒執事』ならではだなと思いました。

武内:

意外とコメディタッチな部分もあって。全体を通してどこかユーモラスで、物語自体は重かったりもするんですけど、それさえもどこか面白く見えてしまうような謎の魅力がありました。すごく真面目なやり取りをしていても、それがどこか滑稽に見えてしまうという、悪魔的な魅力ですね。