「スーパー戦隊 Official Mook 20世紀 1975 秘密戦隊ゴレンジャー (講談社シリーズMOOK)」(講談社)

【画像】え…っ? 「オモシロ」を通り越して「おしゃれ」かも? これが「Tシャツ」になった『ゴレンジャー』名物怪人です

『ゴレンジャー』は『タイムボカン』シリーズみたいに笑って楽しめる番組だった

 2024年『爆上戦隊ブンブンジャー』で第48作となるスーパー戦隊シリーズの原点である1975年『秘密戦隊ゴレンジャー』で作られたさまざまなフォーマットが、のちのシリーズに受け継がれたのはいうまでもありません。

 しかし、後継作にはない『ゴレンジャー』独自の魅力があり、そこが土曜夜7時半という視聴率競争の激しい時間帯で2年にわたって放送された秘訣でもありました。今回は『秘密戦隊ゴレンジャー』の後続シリーズに受け継がれなかった唯一の魅力に迫ります。

怪人がコミカルで、親しみやすかった

『ゴレンジャー』以前に特撮番組に登場した怪人は『仮面ライダー』に代表されるように、幼児が見ると泣き出してしまうような恐ろしさがあります。ところが『ゴレンジャー』に登場した仮面怪人は「機関車仮面」「ヨーヨー仮面」など、思わず笑ってしまうユーモラスな怪人ばかりでした。悪役が親しみのある存在になったことで、家族で笑って楽しめる作品になったのです。

毎回登場するなぞなぞで楽しませた

「火を点けて困るランプはな~んだ?」「それは簡単、トランプだ」「パパが嫌がる果物な~んだ?」「パパが嫌がるんだから、それはパパイヤ」など、悪の組織「黒十字軍」と激しい戦いを繰り広げているはずなのに、『ゴレンジャー』は毎回どこかでなぞなぞが現れることで、空気が和みました。連絡員007の弟、加藤太郎かミドレンジャーこと明日香健二が、キレンジャーの大岩大太になぞなぞを仕掛けるのがお約束でした。大岩はほとんど答えることができませんでしたが……。

 当時の小学生は月曜日に学校に行くと、『ゴレンジャー』で出題されたなぞなぞを話題にしていたものです。しかし、後半はネタ切れのせいか、なぞなぞも省略されることが多くなりました。毎回、新しいなぞなぞを考案するのが大変だったのでしょう。のちのシリーズに受け継がれなかったのも分かる気がします。

チームワークが必要で暴力性が少ない必殺技

 それまでの等身大特撮ヒーローの必殺技はライダーキックのように、直接相手に打撃を加えて倒すものでした。そのため子供が真似をして、危険な場合もあったのです。一方、ゴレンジャーの必殺技「ゴレンジャーストーム」はボール型の武器をつないで、最後にアカレンジャーがボールをキックして敵に命中させるものでした。暴力性が少なくなったうえに、5人のチームワークで敵を倒す画期的な必殺技だったのです。

 後半の「ゴレンジャーハリケーン」では、ボールが仮面怪人の弱点を突くアイテムに変身し、敵を倒すシーンも笑いにあふれていました。

 その後、シリーズ第2作の1977年『ジャッカー電撃隊』の必殺技「ジャッカーコバック」は、メンバーが怪人を取り囲んで倒すという暴力性のある技に逆戻りします。さらに後半の「ビッグボンバー」は、メンバーが持ったパーツを合体させ大砲を作って砲撃するものでした。以降、5人の武器を合体させる必殺技が定着していきます。第5作の1981年『太陽戦隊サンバルカン』の「バルカンボール」はあるものの、のちにボールを使って敵を倒すスタイルは消えてしまいました。

『ゴレンジャー』には子供を引きつけ、大人も安心して視聴できる要素が満載でした。『ゴレンジャー』ならではの魅力をのちのシリーズが受け継いでいれば、夜7時台の番組としてずっと定着していたかもしれません。