アメリカでは業界ルール策定の動きが進む

 またアメリカでも、声優のAIに対する危機感が強まっており、権利保護のための動きが活発になっています。昨年、ハリウッドの俳優らがAIからの権利保護を求め大規模なストライキを行ったことは日本でも大きく報じられましたが、さらに先月、TVアニメに関する新たな契約が締結されたようです。

 アメリカの映画俳優組合(SAG-AFTRA)は、「アニメーションの声優は人間でなければならない」という文言を契約に含めるように主張し続け、その権利を勝ち取ったといいます。また、合成音声を作成する際にも組合に報告することが義務付けられたとのことです。これらの取り決めは法律ではなく、業界内のルールとして策定されています。

 技術革新と権利のバランスは常に難しい議論となりますが、日本の声優たちが築き上げてきた質の高い芝居は、素晴らしい技術の結晶といっても過言ではないでしょう。倍速視聴やAI音声が大きく広がっている昨今において、我々に求められるのは「芝居」を楽しむリテラシーなのかもしれません。