2023年4月に公開された劇場版『名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)』ポスタービジュアル (C)2023 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

【画像】え…? こちらが「コナンのスケボーがとんでもないところを走る」映画です(3枚)

危険すぎる! 阿笠博士の発明品は違法なものばかり?

『名探偵コナン』に登場する「阿笠博士の発明品」は最新鋭の機能を搭載し、身にまとうだけで圧倒的に強くなれることから、子供たちにとっても憧れの的です。しかしSNSなどでは「コナンがやっていることは犯罪じゃないのか(笑)」という声もあがっています。ストーリーがフィクションであることは承知のうえで、「コナンの違法行為はなぜ見逃されるのか」「現実世界にあれば、どういう運用になるのか」という視点で考えてみます。

 まず犯人追跡に使われる「ターボエンジン付きスケボー」は、相当なスピードが出ていることから、ネット上で「道路交通法に違反してる」との指摘がありました。スケボー自体は軽車両ではなく遊具扱いであり、明確な交通ルールがないので、コナンも見逃されているのかもしれません。ただし、スケボーで車道や人通りの多い歩道を走ることは、罰せられる可能性があります。

 現実世界に存在する「ターボエンジン付きスケボー」に近いものとしては、2023年7月の法改正で「特定原付」の区分となった、免許証なしで乗れる電動キックボードでしょうか。こちらは車道を走れるとはいえ、最高時速は20km以下とされていますし、縦横無尽に走り回るのはもちろんNGです。さらに、利用できるのは16歳以上という制限もあります。もし現実世界に存在した場合には、サーキットなどで運用してアトラクションとして楽しむものになるでしょう。

 コナンが危機的状況を打破するために使用する「キック力増強シューズ」も、話題にあがりやすいアイテムです。自己防衛として使用するシーンでも、あまりの破壊力に「過剰防衛ではないのか」と不安になります。とはいえ使用しているのは小学生だということもあり、体格差や、いつも危険にさらされているコナンならではの緊急性から、過剰防衛には当たらないだろうと考察します。現実世界で使えるとしたら、事件に巻き込まれるというケースよりも、競技として、体育の授業などでの活用があり得そうでしょうか。

 また、事件解決シーンの定番といえば、関係者を集めての「推理の披露」です。コナンは推理を始める前、毛利小五郎を筆頭に誰かを「腕時計型麻酔銃」で眠らせます。実はその行為自体が犯罪に当たる可能性があり、視聴者からもよく指摘される描写です。他人に向けて麻酔針を放つという行為は、傷害罪にあたり、刑事告訴されてしまう可能性があります。さらに、針には麻酔薬が仕込まれています。こちらは麻薬および向精神薬取締法に触れてしまうという併合罪の疑いも浮上しています。

 現実世界でどうしても使いたい、ということであれば、腕時計に仕込んだ針を鋭利でないものにし、麻酔薬も用いない、「射的」のような遊び方にするほかなさそうです。

 このように、違法行為にあたる行動が多いコナンの身近には、犯人逮捕の際に必ずといっていいほど登場する目暮警部がいます。目暮警部は自分の部下が強盗団のメンバーだったことに気付かない、誤認逮捕をしてしまうなどの失態を重ねてきました。そのため、ファンの間で「実はポンコツなの?」と揶揄(やゆ)されている人物です。コナンが証拠を残さないように行動すれば、目暮警部が違法行為を暴けるとは思えません。

 また、目暮警部は外部の人間の推理を頼りにすることも多く、工藤新一(高校生探偵)やその父親・工藤優作(ミステリー作家)に捜査情報を漏らすこともあります。若干ルールを破ってしまっても、絶対に事件を解決したいという強い意志の持ち主なのでしょうか。コナンの違法行為が見逃されているのは、目暮警部が近くにいることも理由のひとつかもしれません。