世界に誇る「ジャぱん」を目指す和馬の修行の日々を描いた『焼きたて!!ジャぱん』第1巻(小学館)

【画像】えっ…? なぜ? こちらが『焼きたて!!ジャぱん』ラストに出てきた「何の関係もない」有名キャラです(3枚)

「ぶっ飛び」展開すぎて思考が追いつかない!?

 人気マンガのなかには、最初のストーリーからは想像のつかない衝撃のラストを迎えた作品も多く存在します。今回は、特に「ぶっ飛び」な展開で幕を閉じた3作品を見ていきましょう。

『焼きたて!!ジャぱん』

『焼きたて!!ジャぱん』は「週刊少年サンデー」(小学館)で2001年から2007年まで連載された、橋口たかし先生による「パン作り」をテーマにした作品です。主人公の東和馬はパン作りに情熱を傾ける少年で、世界に誇れる日本のパン「ジャぱん」を作る夢を追い求めます。和馬はパン作りの大会などを通じて、さまざまな試練を乗り越え成長していきました。

 もともとは日本一のパン職人を目指す物語だったはずの本作ですが、どんどん暴走し始めます。作中の「リアクション芸人」のようになっていた和馬の友人、河内恭介はピザ職人のピザを勝手に食べて全身「ヒザ」に変身してしまったり、和馬の作った数々の試作品を食べる度に「とろろ」「だるま」など、もはや人外の何かに次々と変身したりと、ギャグ要素が濃くなっていきました。

 最終章では「地球温暖化を止めるパン」を作るという展開になり、そこで和馬のパンを食べた河内は格闘ゲーム『ストリートファイター』のキャラクター「ダルシム」に変身してしまいます。そして河内版ダルシムが地球上の陸地を浮かび上がらせ、地球温暖化の影響による海面上昇を避けて世界を救うという、まさかの結末を迎えました。

 最終話のタイトル通り、河内の「なんやて!?」というセリフとともに幕を閉じた本作は、読者に強烈なインパクトを残しました。「漫画史上に残るくらいの酷い最終回だった」との声もあれば、「ワケわからなすぎて笑った」「常人では思いつかない幕引き」と楽しむ声もあって賛否を巻き起こし、「伝説」のマンガとなったのです。

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打ち切り? それとも作者の緻密な構成?

『代紋TAKE2』



「ヤクザ×SF」のストーリーを描く『代紋TAKE2 最終戦争完結編 アンコール刊行!』(講談社)

『代紋TAKE2』(原作:木内一雅、作画:渡辺潤)は1990年から2004年まで「週刊ヤングマガジン」(講談社)で連載された、ヤクザマンガとSFが融合した作品です。うだつの上がらないヤクザの主人公・阿久津丈二は1989年に凶弾に撃たれ命を落とすも、10年前の1979年にタイムスリップして生き返り、人生の「やり直し」をすることになります。

 死ぬ前の記憶を持ったまま2度目の人生を歩む丈二はヤクザの頂点に上り詰めるも、自分のせいで死んだ仲間たちを思い「自分がタイムスリップしなければ」「失敗した」と思い悩むようになります。そして、最終回で丈二は最初に命を落とした1989年にまたしても銃で撃たれ、再び同じ運命を辿ることになりました。

「運命は変えられない」というメッセージを込めた結末なのかと思いきや、意識を失う直前に丈二の視界にぼんやりと「GAME OVER」の反転した文字が現れ、その奥にふたりの小学生らしき人物が映ります。実は、この物語自体が「代紋くん 成り上がれ極道の頂点」というゲームのなかの話で、丈二の人生はゲームで遊ぶ子供たちに操られていたことが判明しました。

 丈二が1回目の人生での経験を覚えていたのもゲームだったからで、かれは2回目の人生の矛盾点などにも納得し、彼の3回目の人生「TAKE3」が始まるところで物語が終わります。「あそこまで想像を裏切ってくるマンガは滅多にない」「最初の方からちゃんと伏線張られてて適当なオチとは違うし、これはこれでアリ」など、独自の終わり方に感心しているファンもいました。

『監獄学園』

『監獄学園』は2011年2月から「週刊ヤングマガジン」(講談社)で連載されていた、平本アキラ先生原作のマンガです。元女子校が共学化した「八光学園」で、主人公・藤野清志(キヨシ)ら男子生徒たちは女風呂を覗いたことがばれて学園の監獄に閉じ込められてしまいました。

 彼らは「裏生徒会」による厳しい制裁を受けながらも、なんとか脱獄を目指します。特にキヨシは同じ学園に通う片思いの栗原千代とのデートを夢見て脱出を強く決意するのですが、その道のりは険しいものでした。

 物語は脱獄を巡る男子生徒たちと「裏生徒会」との攻防戦や、「裏生徒会」と「表生徒会」の対立などを経て、最終回へと進んでいきます。キヨシは千代に告白して晴れて両思いになるものの、最終回は予想外の展開を迎えました。

 キヨシと千代が結ばれることを認められず暴走した緑川花の行動により、キヨシのとある恥ずかしすぎる性癖がばれて、最後は千代に激しいトラウマを植え付けます。完全に男性を信用できなくなった千代は、「裏生徒会」の次期会長に就任するというまさかの「闇堕ち」の結末を迎えるのです。

「衝撃過ぎて気絶した」と驚きを隠せない声や、「最終回にして平本アキラ先生は天才だと実感した」など絶賛の声も相次ぎました。また、のちに描きおろしで「男子生徒たちが濡れTシャツコンテスト(八光学園の夏のイベント)に向かう」という追加エピソードも足されています。