「地獄先生ぬ~べ~ コンプリートDVD-BOX VOL.1【初回生産限定】」 (C)真倉翔・岡野剛/集英社・東映アニメーション

【画像】お色気枠じゃないのに! 声が色っぽすぎるキャラたち(5枚)

『翔んで埼玉』魔夜峰央先生の代表作!

 昔のTVアニメでは、ゴールデンタイム枠でも女性の全裸などが普通に描かれていました。良くいえば自由な時代ではあったのですが、家族みんなでテレビを見る機会も多かったため、「気まずい思いをした」という人が多数存在するようです。今回は、そんなお茶の間を凍り付かせたアニメの数々を見てみましょう。

 たとえば1982年から1983年にかけて放送された『パタリロ!』は、いろいろときわどい描写が出てくるアニメでした。同作はタイトルや放送枠が何度か移動していますが、いずれも19時台、華のゴールデンタイムでの放送です。

 原作は少女マンガ誌「花とゆめ」で連載されたドタバタギャグコメディで、美少年たちによる耽美な世界が惜しみなく描かれているのも特徴でした。アニメ版はそんな原作を忠実に再現しており、当時のTVではほぼタブーのような扱いだった同性愛の世界を描いた、元祖BLアニメのような位置付けになっています。

 作中には「美少年キラー」ことバンコランとマライヒの濡れ場やキスシーンがたびたび登場し、お茶の間にマライヒの喘ぎ声が響くことも少なくありませんでした。これが平日の夕食時に放送されていたとあって、ネット上には「『パタリロ!』はきわどすぎて、親の手前どんな顔して見ればいいか分からなかった(笑)」「夜7時台に男同士のベッドシーンを堂々と流していたなんて今思い返すとホント恐ろしいわ」と振り返る声が多々見受けられます。

 一方、90年代生まれで現アラサー世代の人の大半は、アニメ『地獄先生ぬ~べ~』によって背筋が冷えた思いをしたことがあるのではないでしょうか。同作は霊能力教師「ぬ~べ~」の活躍を描いた妖怪退治モノでありながら、入浴シーンや着替えシーン、さらにはラッキースケベなど、定番のお色気シーンをひと通り網羅していました。それもかなりの高頻度だったので、純情な少年にとってはホラーどころではない騒ぎだったのではないでしょうか。

 なかでも衝撃的だったのが、雪女である「ゆきめ」の出産シーンです。正確には妖力を溜めすぎたゆきめが冷気の塊「雪童(ゆきわらし)」を放出するシーンなのですが、妖力が体からあふれ出す際には「どうしたらいいのぉ……もうだめぇぇぇ!!!」などと悶え苦しむ姿が描かれており、親と見ていて気まずい思いをした人も少なくなかったといいます。そもそも『地獄先生ぬ~べ~』は学校の怪談系ホラーとしても普通に怖いため、二重の意味で視聴者にトラウマを植え付けたアニメだといえるかもしれません。



ウテナ(画像左)が描かれた『少女革命ウテナ 絶対進化革命前夜』CDアルバム(キングレコード)

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当時の視聴者に衝撃を与えた“ウテナショック”とは

 作品自体にお色気要素があるならあらかじめ回避できそうですが、突如としてきわどいシーンが登場し、不意打ちを浴びせてくるというパターンも存在します。たとえば1980年代半ば、毎週日曜夜19時に放送されていたアニメ『タッチ』はその代表でしょう。南ちゃんのレオタードや水着といったサービスシーンがあったり、長めのキスシーンが描かれたりしたため、「お茶の間ショック」を避けられなかった人も多かったようです。

 またゴールデンタイムとは少しズレますが、1997年に水曜18時の枠などで放送されていたアニメ『少女革命ウテナ』にも気まずいシーンがありました。「みんなのトラウマ」と呼ばれる33話は、平たくいえば主人公のウテナが鳳暁生(おおとり あきお)と一線を越えてしまうエピソードです。ウテナの顔をアップにして直接的な描写を避けているとはいえ、だからこそより生々しいベッドシーンが演出されていました。

 そもそもウテナは、幼少期に心を救ってくれた王子様に憧れるあまり、自身も王子様になろうとする男装の麗人です。これまで強く気高くあり続けたウテナが、暁生の手によって「オンナ」になってしまった姿は、気まずさ以上の衝撃を多くの視聴者に与えたことでしょう。

 思い返せば、お色気要素ではないものの、2022年に放送された日曜日17時より放送されていた『機動戦士ガンダム 水星の魔女』第1クール最終話の“人間ハエ叩きのシーン”も、お茶の間を凍り付かせるポテンシャルを持った描写でした。

 コンプライアンス意識が高まった今の時代でも、やりようによってはまだまだ「お茶の間ブレイカー」などと呼ばれる作品が作れるのかもしれません。