「S.H.Figuarts フィギュアーツ ピッコロ大魔王 ドラゴンボール」(BANDAI SPIRITS)

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なんで爆発した?

 多数の強敵が登場する『ドラゴンボール』のなかでも、ピッコロ大魔王は敵キャラの代表格的な存在です。そんなピッコロ大魔王が悟空に敗れたシーンには、ある疑問を感じる人が一定数いるようです。

 まず、ピッコロ大魔王の最後をおさらいしましょう。最後の力を振り絞り、地面にかめはめ波を撃って飛び上がった悟空によって身体を貫かれ、ピッコロ大魔王は腹に大きな穴が空いてしまいました。しかしその後すぐに絶命するわけではなく、口から卵を産んでから爆発します。

 このときに産まれたのが、後に悟空たちと何度も共闘することになる「ピッコロ(マジュニア)」です。ピッコロ大魔王の生まれ変わりであるピッコロは、その後の戦いで再生能力を披露しました。「魔人ブウ編」では「アタマさえ無傷なら再生できる」と言っていましたが、親であるピッコロ大魔王も再生能力を持っていたのなら、腹に穴が空いた程度の傷は再生できた可能性があるのです。

 なぜピッコロ大魔王は、再生能力を使用しなかったのでしょうか。理由のひとつとして、再生能力に限界があったという説があげられます。ピッコロが天下一武道会で腕を再生させた際や、ピッコロと同じナメック星人のネイルが再生能力を使った際には、かなり疲れたような描写がありました。となると、再生には相当のエネルギーを消費するという可能性が考えられます。

 悟空との戦いの後、腹にも大きな穴を空けられたピッコロ大魔王には、もはや回復するためのエネルギーが残っていなかったのではないでしょうか。死の間際に発した「わが子よ…、いつの日か、父の恨みをはらしてくれ……! 悪の根を絶やしてはならんぞ…」という最後のセリフは、その存在が生粋の「悪」であることを思い出させます。

 このことから、自分の腹部を再生するよりも、種を絶やさず分身とも言える新たな存在(卵)を産み出すために、最後のエネルギーを使ったとも考えられます。

 ちなみにアニメ版のピッコロ大魔王が大卵を産むシーンはマンガ版よりも衝撃的で、ファンの間でもたびたび話題にあがります。いったい身体のどこで卵が作られているのか、顎の骨はどんな構造になっているのか、身体や顎関節の機能が気になるところです。

 そして、いちばん有力なのは再生能力を使用しなかったのではなく、使えなかったという説です。ナメック星人には、デンデのように治癒能力を持ちドラゴンボールも作れる「龍族」と、ピッコロと融合したネイルのように戦闘力に優れ再生能力を使用することができる「戦士タイプ」のふたつの種族が存在します。

 卵を産めるのは龍族のなかの「長老」ポジションの人物だけで、「フリーザ編」で死亡した最長老はピッコロや地球の神様、スラッグ以外のすべてのナメック星人(100人以上)を生みだしていました。

『ドラゴンボール大全集』7巻では、のちに実体化してピッコロ大魔王となる自分の「悪の心」を捨てた地球の神様が龍族であること、ピッコロが龍族の血筋だったが戦士タイプになったことが記載されていました。悪の心が実体化したピッコロ大魔王は、自分や卵で産んだ部下たちを「魔族」と呼ぶなど異質な存在でしたが、もとの神様の龍族としての卵を産む能力を受け継ぎ、再生能力は持たないナメック星人だったと考えられます。

 なぜか最後に爆発したのも疑問が残るポイントです。腹を貫かれた直後に爆発したのならまだしも、捨てセリフを吐いて卵を産んでからワンテンポ置いて爆発しているため、自爆の線も捨てきれません。

 自分の能力を最大限受け継がせたであろう卵を産み、力を使い果たしてしまったピッコロ大魔王は、新たに生まれるであろう自身の分身に悟空への復讐を委ね、魔族の誇りを持ったまま自ら爆発して散ったのではないでしょうか。ピッコロ大魔王の最期がファンの間で語り継がれる理由も、この誇りゆえかもしれません。