『おジャ魔女どれみ』はノスタルジーの宝庫? 画像はキービジュアル (C)東映アニメーション

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どれみの「松坂」発言にも時代を感じる今日この頃

 社会の常識は、時代によって大きく変わるものです。ひと昔前のアニメには、今ではめったに見られない光景が当たり前のように広がっています。

 たとえば今でこそ連絡ツールといえばスマートフォンが主流ですが、1992年に放送された『幽☆遊☆白書』では、ポケベルと公衆電話で連絡を取り合う蔵馬の姿が描かれていました。

 今見ると違和感のあるひと昔前のアニメの光景は、さまざまな物に関して起きています。今回はそこまで昔というわけでもない、平成アニメから、「いまでは違和感しかない光景」の数々を振り返りましょう。

 かつて駅の改札口や出口付近には、待ち合わせ場所や時間変更を伝える連絡手段として「伝言板」が設置されていました。携帯電話の普及とともに撤去が進み、今やめったに見られない代物となりましたが、1999年に放送されたアニメ『おジャ魔女どれみ』には、駅の伝言板を利用する登場人物たちの姿が描かれています。

 伝言版が登場するのは、第34話「お母ちゃんに逢いたい!」です。妹尾あいこの離婚した母親が大阪から美空町へとやってくるのですが、そのことをあいこが知ったときには、待ち合わせの時間をとっくに過ぎていました。あいこは急いで駅に向かうものの、すでに母親は帰ってしまった後で、代わりに駅の伝言版にあいこ宛てのメッセージがつづられていたのです。

 ちなみにこの第34話はほかにも、遅刻した生徒に校庭を10周走らせたり、どれみが「松坂も真っ青な剛速球」というセリフを吐いたりと、時代を感じさせる描写がいくつか見受けられます。後者の「松坂」とはたぶん「平成の怪物」松坂大輔選手のことで、『おジャ魔女どれみ』が放送された1999年は、彼がプロ初登板した年でもありました。遅刻の罰に関しても、令和の世に同じことをしたら大問題になってしまいそうです。



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電車のなかで平然とタバコに火をつける主人公

 21世紀に入った2006年に放送されたアニメ『NANA-ナナ-』では、登場人物たちがこぞってアンテナ付きのガラパゴス携帯、通称ガラケーを使用しています。それこそ第1話では主人公の小松奈々がメールの早打ちを披露して、「さすが今どきの女子高生は違うな」と、もうひとりの主人公である大崎ナナを感心させていました。

 また『NANA-ナナ-』第1話といえば、ナナが列車のなかで平然と喫煙するシーンも印象的でしょう。実際にネット上でも「電車のなかでタバコ吸ってて、わりと衝撃を受けた」「当時はこれ見て何も思わなかったけど、いまは違和感でしかないな!」といった声も相次いでいました。

 さらにアニメ第30話では、駅構内やホームでタバコを吸うシーンまで描かれており、物語の舞台である2000年前後の日本社会が、まだ喫煙者に対してある程度寛容だったことがうかがえます。

 タバコといえば、アニメ『クレヨンしんちゃん』の野原ひろしもかつては喫煙者でした。みさえの第二子妊娠をきっかけに喫煙をやめていますが、それまでは自宅はおろか、会社のデスクでも堂々とタバコを吸っています。今となっては、自分の席でタバコに火を付けようものなら、周りから怪訝な目で見られてしまいそうです。

『クレヨンしんちゃん』つながりでいうと、1993年に放送された「エアコンを買うぞ」というエピソードでも、時代を感じさせる描写がありました。今でこそ日本の夏は、エアコンがないと乗りきれないような暑さですが、どうやらそれまでの野原家は扇風機1台で夏場をしのいでいたようなのです。

 ひとり暮らしのアパートでエアコンがないというのならまだしも、野原家のような一戸建ての家庭にエアコンが1台もないというのは、少し異常な光景ともいえるのではないでしょうか。ちなみに「エアコンを買うぞ」が放送された1993年は、いわゆる「平成の米騒動」が起きた「大冷夏」の年でもありました。

 ひと昔前のアニメを視聴して、時代を感じられるのは大人になってからの特権です。この機会に、子供のときに見ていたアニメを振り返ってみるのもいいかもしれません。