『あしたのジョー2 COMPLETE DVD BOOKシリーズ』 (C)高森朝雄・ちばてつや/講談社・TMS

【画像】画風はそれぞれ違う? ちば兄弟が手がけた傑作マンガのビジュアル(4枚)

『ジョー』ちばてつや氏だけじゃない! ちば兄弟の華麗なる活躍

 漫画家ちばてつや氏は、『あしたのジョー』(原作:高森朝雄氏)、『あした天気になあれ』をはじめ、数々の傑作を世に送り出しました。氏は4人兄弟の長男で、弟たちも全員マンガの世界で活躍されていることをご存知でしょうか。

 そんなマンガのエリート一家とも言える「ちば兄弟」が手がけた珠玉の傑作を振り返ります。

 まず最初に紹介するのは、やはり不朽の名作『あしたのジョー』です。「週刊少年マガジン」(講談社)にて1967年から1973年まで連載され、原作は高森朝雄氏(梶原一騎氏の別名)、ちばてつや氏が作画を担当しました。

 連載中から大反響を呼ぶヒット作となり、作中で主人公・矢吹ジョーのライバルだった力石徹が死んだ際は、講談社講堂で実際に葬儀がおこなわれるなど、1970年代に社会現象を巻き起こした作品です。

 同作は、ドヤ街で暮らすジョーが、落ちぶれた元ボクサーの丹下段平に才能を見いだされ、ボクシングの世界に挑んでいくストーリーです。そのなかから、ジョーに対する段平の愛情を感じるエピソードを紹介します。

 ボクサーとしてのジョーの才能に惚れ込んだ段平は彼をトレーニングに誘いますが、ジョーは段平の気持ちを利用しました。そして小遣いをもらっては遊びまわり、最終的には警察に逮捕されます。

 しかし段平は、そんなジョーを見捨てることなく、鑑別所に手紙を送ってボクシングへと誘い続けます。その結果、ジョーは段平を信頼しはじめ、出所後は丹下ジムで真剣にボクシングと向き合うようになりました。

 迫力ある対戦描写やドラマチックな展開は本作の魅力ですが、才能に惚れ込んだジョーに対する段平のひたむきさにグッときた読者も多いはずです。

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「等身大」の野球少年たちの奮闘に感動!

 次に紹介するのは「ちば4兄弟」の三男である、ちばあきお氏が手がけた野球マンガ『キャプテン』です。墨谷第二中学校の野球部を舞台に、個性豊かな歴代キャプテンたちを中心とした成長と活躍が描かれた野球マンガです。

 初代主人公・谷口の高校入学後の活躍が描かれたスピンオフ作『プレイボール』とともに、野球マンガの金字塔として知られています。

 本作が連載された1970年代の野球マンガといえば、非凡な主人公が「魔球」などを武器に戦う「熱血スポ根モノ」が主流でした。しかし同作では、等身大のキャラクターが仲間たちと欠点を補い合いながら、地道な努力を重ねて勝利を目指すという現実的な内容が描かれています。

 このような作風は当時としては珍しく、「新しいスポーツマンガの先駆け」と言っても過言ではありません。

 そんな、ちばあきお氏は41歳の若さで逝去されました。しかし、人気野球マンガ『グラゼニ』(講談社)の原作や『おれはキャプテン』(講談社)の作者として知られるコージィ城倉氏が、ちばあきお氏を原案に、そっくりの絵柄で『プレイボール2』『キャプテン2』を手がけています。

 ちばあきお氏の遺志を継ぎ、コージィ城倉氏が作品を繋げていく構図は、まるで『キャプテン』のストーリーのようです。



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