「百合×ガンダム」としても話題の『機動戦士ガンダム 水星の魔女』 (C)創通・サンライズ・MBS

【画像】まだまだある! 2022年秋クールの美麗アニメ(8枚)

絵作りが綺麗なアニメを3つチョイス

 アニメファンが注目するポイントのひとつとして「作画」が挙げられます。作品の雰囲気にバッチリ合った絵作りに、演出やアクションの細かさが加わることで、私たちは作品世界に引き込まれてしまいます。そこで今回は、今期に始まったアニメのなかから、作画がキレイな作品を3つ紹介します。

『機動戦士ガンダム 水星の魔女』

 水星で育った気弱な女の子、スレッタ・マーキュリーが、母の勧めでアスティカシア高等専門学園へと編入します。そこで学園理事長のひとり娘ミオリネ・レンブランと運命的なガール・ミーツ・ガールを果たすところから物語が始まります。

 当然『ガンダム』を冠する作品なだけあって、モビルスーツの作画は素晴らしいの一言です。その上、モビルスーツの存在感に負けない背景の描き込みにも注目していただきたいです。第1話の冒頭で、学園の外観が人工物を組み上げている光景が出てきます。そのワンカットだけで、宇宙空間の中でどのように生活圏を確立しているかが一目瞭然でわかるような絵作りになっているのです。ガンダムでおなじみの球体AI=ハロをハンドルに装着した二輪バイクに乗る学生たちや、道路や線路、校舎のディティールまでしっかり描写されており、このような所に住んでみたいと思ってしまいます。

 キャラクターに関しても特筆すべき点が多いです。スレッタが初めてトマトをかじった瞬間、緑色混じりの赤い汁がブシュッとスレッタの口元で溢れ出し、口元を汚します。一瞬だけスレッタの瞳に光沢が輝き、彼女が生まれて初めてトマトを食べた美味しさに感動していることを表現しているのです。他にも、ミオリネが他の生徒たちと違う服装で、パンツ(ズボン)の丈が短く、ストッキングを穿いている点も気になりました。その衣装だけでも、ミオリネが行動的だけどガードが固い性格であることを示していて、服装の違いでキャラクターの個性を際立たせているのです。

「百合×ガンダム」として話題沸騰中のガンダム最新作。各ネット配信サイトで観られる前日譚の「PROLOGUE」では、ガンダムとスレッタの過去について語られていますので、興味を持った人は是非チェックしてみてください。



春クールに続いて第2シーズンが開始された『SPY×FAMILY』。3人の疑似家族に、新たな家族が加わる! (C)遠藤達哉/集英社・SPY×FAMILY製作委員会

『SPY×FAMILY』第2クール

 東国オスタニアと西国ウェスタリスの冷戦下、西国の凄腕スパイであるコードネーム=黄昏(たそがれ)は、ある極秘任務を課せられる。それは偽装家族を作って、敵国の大物政治家の息子と仲良くなり、政治家とコンタクトを図って情報を探ること。こうして父・ロイド=黄昏(スパイ)、母・ヨル(殺し屋)、娘・アーニャ(超能力者)という仮初めの家族ができあがるのであった――。

 ロイドやヨルの外連味あるアクションシーンや、アーニャのコミカルな言動が話題になった1期と同じく、2期でも美麗な作画は健在です。BUMP OF CHICKENが奏でる「SOUVENIR」の軽快な音楽に合わせたオープニングの作画からして、随所に花や葉が舞う演出や光の使い方が秀逸です。

 13話では、白い犬に乗りながらアーニャが「スターライトアーニャになる!」と言って顔のアップから流れるように駆け抜けていくシーンや、ヨルがアーニャを助けるために、暗殺者のごとく現れて息つく間もなく、敵を回し蹴りで吹き飛ばすシーンには圧巻です。さらに14話では、大臣に変装したロイドが獰猛な爆弾犬から逃走。そのときの運動神経を駆使した機敏な動きが、まるでカンフー映画を見ているような躍動的な動きで、目を見張るアクション劇に仕上がっています。

『チェンソーマン』



現在「少年ジャンプ+」で第2部連載中の『チェンソーマン』 (C)藤本タツキ/集英社・MAPPA

「チェンソーの悪魔」ポチタといっしょにデビルハンターとしてヤクザにコキ使われながらも、普通の生活を夢見て暮らすデンジ。しかし「ゾンビの悪魔」に取り込まれたヤクザが裏切り、デンジを殺してしまいます。瀕死のポチタはデンジと契約し、彼の心臓となってデンジを蘇らせる───こうしてチェンソーマンとなったデンジは、過酷な運命に立ち向かっていくのです。

 この作品の魅力に、悪魔とのバトルシーンが挙げられます。1話ではチェンソーマンに変身したデンジが、大量のゾンビをスプラッター映画ばりに血飛沫をまき散らしながら、頭部・両手のチェンソーを使ってなぎ倒していく場面は圧巻です。

 この“動”のシーンをより際立たせるために、1話前半では抑えめの色調や会話劇になっており、メリハリを効かせています。そして躍動的なバトルシーンのあと、1話ラストで再び“静”のシーンが訪れます。
マキマという美しい女性が現れて、「キミの選択肢はふたつ。悪魔として私に殺されるか、人として私に飼われるか」と問うのです。1話の静→動→静という構成で、一気に視聴者を惹きつけました。さらに各話のエンディング曲がすべて別々のアーティストの書き下ろし楽曲というのは前代未聞です。オープニング映像にもさまざまな映画のオマージュが散りばめられていているなど、話題に事欠かない今期の注目作に仕上がっています。

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 始まったばかりの2022年の秋クールアニメ。ここに挙げられなかった作品にも、素晴らしい作画のタイトルはまだまだあります。少しでも気になる作品がありましたら、ぜひチェックしてみてください。今は配信サイトが充実していますので、初回を見逃してしまっても追いかけることは容易です。