ウミガメと環境問題

環境問題がウミガメに与える影響

オサガメにとってクラゲは主食。アオウミガメ(写真)やタイマイもしばしばクラゲを食べることが観察されている

近年、地球温暖化が懸念されています。気温も海水温も全体的に上昇傾向にあり、ウミガメにとっても気になるところ。というのも、ウミガメの性別は卵時代の温度によって決定されるからです(温度依存性決定)。他の爬虫類にも見られる現象で、ウミガメでは雌雄がバランスよく生まれる温度は29度前後(種類などによって変動あり)。これより高いとメスの割合が増え、低いとオスが増えるのです。アカウミガメの調査では、世界各地でメスのほうが多く生まれていることがわかっているそうです。その逆よりはマシかもしれませんが、オスが圧倒的に少数となってしまうと、遺伝的多様性の損失や繁殖機会の減少など様々な問題が生じることが予想されます。

海洋汚染も心配です。産業活動によって海に流れてしまった重金属(カドミウムや水銀など)やダイオキシンなどの塩素系加工物、放射性物質などは、ウミガメに限らず海洋生物にとって大いなる脅威です。そして、様々なゴミ類。放置された古い漁網や釣り糸に絡まってしまったり、ビニール袋やプラスチック類などを餌と間違えて誤食、死に至るケースはしばしば報告されています。

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ウミガメのことを駆け足で紹介してみました。いかがでしたでしょうか。次回、ダイビングや水族館で出会ったら、ぜひ種を特定することに挑戦してみてください。また、体の各部や泳ぎ方なども観察してみてくださいね。