クラシックな名建築を優雅に見学「日光田母沢御用邸記念公園」

趣ある建物と庭園を見学できる「日光田母沢御用邸記念公園」

「日光田母沢御用邸記念公園」では、明治から昭和大正まで天皇・皇太子の静養地として使われた建物内の一部と荘厳な庭園を見学できます。金谷ホテル歴史館から徒歩4分ほど。

明治32年(1899)、当時皇太子だった大正天皇の夏の静養地として造営されました。金谷ホテルの開業も支援した銀行家・小林年保の別邸に、赤坂離宮などに使われていた旧紀州徳川家江戸中屋敷の一部を移築、その他を新築したもの。大正時代に入り大規模な増改築が行われ、江戸時代後期から明治、大正と三時代の異なる建築様式が共存しています。

大正天皇即位後に増改築された謁見所

公式な来客時に使用された謁見所。格式ある書院造でありながら、天井にシャンデリア、畳にイギリス製じゅうたんを敷いた和洋折衷様式の空間です。最高級の木材と技を尽くした建築で、木材の宝石箱とも呼ばれているのだそう。

御学問所の丸窓から見る庭園の景色

天皇の書斎として使用された御学問所は、旧紀州徳川家中屋敷から移築。丸窓からのぞく庭園の景色に風情を感じます。梅の間と称され、壁や照明のかさなどさまざまなところに梅のモチーフが使われています。

皇后御座所に付けられている楓葉形の釘隠し

襖の引き手や釘隠しに付いている錺(かざり)金物は、建築時期や部屋によって意匠が異なります。各部屋をめぐりながら、お気に入りのデザインを探してみては?

お抹茶+菓子セット880円

建物内を見学した後は庭の散策や、別邸の「御用邸 茶寮」で甘味を味わうのも楽しみ。御用邸金つばや季節の和菓子とお抹茶をたしなめば、優雅な気持ちで過ごせそうです。

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お地蔵さんが並ぶ渓谷沿いを散策「憾満ヶ淵・化け地蔵」

渓谷沿いに地蔵が並ぶ「化け地蔵」

日光田母沢御用邸記念公園から15分ほど歩いたところにある「憾満ヶ淵・化け地蔵」。憾満ヶ淵は、男体山から流れ出た溶岩が、大谷川に浸食されてできた渓谷です。清々しい木々の緑に、白い水しぶきが美しく映えています。

写真右側にあるお堂が霊庇閣。対岸上流の岩肌に「カンマン」の梵字がある

かつて上流に不動明王の石像が安置されており、その台座だった岩壁に不動明王の真言の最終句「カンマン」の梵字が刻まれています。川の流れの響く音が「カンマン」と聞こえることから憾満ヶ淵と呼ばれるようになったのだそう。

不動明王像の対岸にあたる位置には「霊庇閣(れいひかく)」があります。不動明王像に向かって天下泰平を祈る護摩供養が行われた場所で、明治時代の大洪水で流出したのち復元されました。

散策路沿いに一列に安置された並び地蔵

渓谷沿いの散策路には、天海の弟子約100人が寄進したという地蔵群が並びます。当時は100体ほどありましたが、大洪水で流され現在の数は70体ほど。小さくなったものや顔がないものもあり、数えるたびに数か異なるといわれることから「化け地蔵」の呼び名がつきました。

明治から昭和にかけて外国人観光客も訪れたとか

苔むした並び地蔵と、渓谷美のコラボレーションは壮観で神秘的な雰囲気。新緑や紅葉はもちろん、地蔵の頭が白く染まる雪景色など四季折々の彩りを楽しむことができます。


Text:小室茉穂(MOVE)
Photo:宮地工・泉田真人

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