「旅客機、白ベースの塗装ばっかり!」なぜ? 「無難だから」だけで片付けられない理由とは

飛行機の塗装デザインは航空会社によってさまざまではあるものの、空港を行き交う機体を見ると、白をベースにしたカラーリングのものが多数を占めていることがわかります。なぜ、白ばかりなのでしょうか。

※黒の塗装もあります

 飛行機の塗装デザインは航空会社によってさまざまではあるものの、空港を行き交う機体を見ると、白をベースに、会社ごとに異なるカラーリングのものが多数を占めていることがわかります。なぜ、白ばかりなのでしょうか。

 そもそも旅客機の胴体はアルミ合金や強化繊維プラスチックでできており、地の色は白ではありません。飛行機の塗装を施す大きな目的は、機体を腐食から保護すること。また、ドアの枠や非常口の位置など航空法で定められた表示を行う役割もあるとされています。

 白ベースデザインが多くを占める理由については安心感や清潔感を与える色として、機体塗装でも好まれやすいほか、コスト面でも有利とされています。

 JALによると、たとえばボーイング747のような大型機に使われる塗料は約200kgにもなるそう。白をベースに、青や赤などの色を塗れば、色を二重に塗るエリアを少なくできるため、塗料そのものを少なくし、機体重量を抑えることにもつながる効果もありそうです。

 また、航空整備士にとっても、白ベースの塗装はオイルなどの漏れや塗装の腐食などを発見しやすいほか、熱を吸収しにくい色であるため、機体・客室の温度上昇も抑えられる効果もあると、航空塗装に携わる人物は話しています。

 ただ、その一方で、スターフライヤーのように、機体のほとんどの部分が熱を吸収しやすいとされる黒色を機体デザインとしている会社も。同社によると、メーカーの協力で実証を行い、黒色の塗料でも安全性に問題はないと証明されたため、このデザインを採用したとのことです。