西武の「サステナ車両」=「小田急」に驚きの声 “無塗装”じゃなかったの?  条件変更の理由を聞いた

西武鉄道が導入する他社の中古省エネ車両「サステナ車両」が、東急9000系と小田急8000形の2車種に決定しました。特に後者は予想外だったのか、驚きの声が多数。というのも、当初の条件「無塗装」に反する車両だったからです。

塗ってるじゃん! 小田急8000形が西武線へ

 西武鉄道がかねて導入を表明していた他社からの中古車両「サステナ車両」が、東急9000系と小田急8000形であると2023年9月26日に発表されました。2車種ということもさることながら、特に後者は多くの人が予想外だったのか、SNSでは驚きの声が上がっています。

 

 というのも、この「サステナ車両」の当初発表されていた条件に反するものだったからです。

 当初、サステナ車両について西武は「無塗装車体、VVVFインバーター制御車両等の他社からの譲受車両」と定義していました。対して小田急8000形は全体がアイボリーに塗られています。

 西武鉄道に聞いたところ、「『無塗装』だと条件が合わないことがわかった」とのこと。たとえ塗装車でも「VVVFインバーター搭載車であれば、CO2削減目標を達成できる」ので、無塗装という条件は除外したのだそうです。

「譲渡元の廃車計画とタイミングが合うこと、当社の駅施設に適用できること、少ない車種数でまとまって導入できることなどを念頭に選びました」(西武鉄道)

 そこで白羽の矢が立ったのが、東急9000系と小田急8000形だったわけです。ともに1980年代から、それぞれのメイン路線で主力として走ってきた実績があり、車両数も多い車種です。

 そもそもサステナ車両の導入は、厳しい経営環境のなかで環境意識の高まりに応えるため、新造車と譲受車の双方で、古い車両を置き換えていくことが目的です。これにより省エネ化を推進し、固定費の低減につなげることを主眼に置いています。

 具体的には「2030年度までに車両のVVVF化100%達成」を掲げており、年間約5700tのCO2削減(約2000世帯の年間排出量に相当)を図るとしています。そのために西武は2024年度以降、東急9000系と小田急8000形を合計およそ100両、2029年度までに導入する予定です。

(広告の後にも続きます)

西武色になるのか? 内装は?

 西武は今回の2車種をそれぞれ支線系統に入れ、本線系統へは新造車を導入することも明記しています。東急9000系は多摩川線、多摩湖線、西武秩父線、狭山線へ、小田急8000形は国分寺線へ入ります。なお、2024年度に運行を開始する第一編成は小田急8000形だそうです。

 では、西武線への導入にあたり、両車種は何らかの変更があるのでしょうか。

 西武鉄道は「未定」ではあるとしつつ、「外観は何かやるかもしれない」と含みを持たせました。

 東急9000系は西武秩父線への投入が明記されておりますが、実は、直通運転を行う秩父鉄道がすでに東急のステンレス車である8090系(秩父鉄道7500系・7800系)と8500系(同7000系)を導入しています。SNSでは、それらと西武が導入する東急9000系との“共演”を期待する声もある一方で、「西武秩父線に東急車行ったらもうただの秩父鉄道やん」との声もあるなど、ステンレス車体のままでは、いまいち差別化が図れないかもしれません。

 また、東急9000系の導入により、西武秩父線を走る西武4000系は置き換えられる見込みです。同車は1998年から長年にわたり西武池袋線~秩父鉄道の直通運転に使われてきた車両で、特急車両を除く西武線で唯一のセミクロスシート(いわゆるボックス席)・トイレ付きというロングラン向けの設備をもちます。

 しかしながら、東急9000系の内装を変える予定は今のところないとのこと。西武から特急以外のクロスシート車が消滅する可能性が高まっています。