阿蘇を走る「SLあそBOY」が18年振りに1日限りの復活!

■阿蘇を登るSL列車「SLあそBOY」

JR九州は2023年9月22日(金)、「SLあそBOY」を18年振りに豊肥本線・熊本〜宮地間で特別運行します。


18年振りに豊肥本線を運行する「SLあそBOY」(2005年撮影)

「SLあそBOY」は、1988年8月28日から熊本〜宮地間で運行を開始したSL列車でしたが、けん引機の8620形58654号機が不調となったため、2005年8月28日で「SLあそBOY」は運行を終了しました。

その後、58654号機を修復して、2009年4月25日から肥薩線熊本〜人吉間を運行する「SL人吉」として復活。しかし、勾配が厳しい豊肥本線では復活しませんでした。

2020年7月4日の令和2年7月豪雨によって肥薩線が被災したため、「SL人吉」は2021年5月1日から鹿児島本線・鳥栖〜熊本間で運行していますが、2024年3月23日で「SL人吉」の運行は終了します。


現在は「SL人吉」として鳥栖〜熊本間で運行しています

JR九州は、「SL人吉」がラストシーズンとなる2023年度に様々な企画を実施していて、「SLあそBOY」の復活運転もその一環です。熊本地震から復興して、7月15日から全線運転を再開した南阿蘇鉄道とのタイアップツアーによる団体専用列車として特別に運行します。


ツアーでは南阿蘇鉄道のトロッコ「ゆうすげ号」にも乗車します

ツアーはS班・L班の2班に分けて各100名ずつ募集。S班は熊本(10時6分発)→宮地(12時19分着)間を「SLあそBOY」に乗車し、宮地駅からはバスに乗車し、阿蘇神社観光と草千里の車窓観光で阿蘇観光をしながら、南阿蘇鉄道高森駅まで移動。

高森駅周辺を自由散策した後、高森→立野間は南阿蘇鉄道のトロッコ列車「ゆうすげ号」に乗車。立野駅からバスに乗車して熊本駅に17時頃到着するルートです。

L班はS班と基本的に逆のルートとなり、熊本駅をバスで10時頃出発。「SLあそBOY」には宮地(14時25分発)→熊本(16時52分着)に乗車します。ただし、高森駅から宮地駅までのバス移動中の阿蘇神社立ち寄りがありません。また、L班が乗車する「SLあそBOY」はDL(ディーゼル機関車)が先頭となり、SLは最後尾に連結されます。


宮地→熊本間はDLが先頭に立ち、SLが最後尾となります(写真は「SL人吉」)

かつて「SLあそBOY」が運転されていた2005年以前は、宮地駅の転車台でSLの方向転換をしていました。しかし、転車台が使われなくなって18年も経っているため、今回は方向転換を実施しない模様です。


2005年までは宮地駅の転車台でSLの方向を転換していました(2005年撮影)

旅行代金はS班が大人2万800円・こども1万9400円、L班は大人1万8800円・こども1万7400円です。

ツアーはJR九州トラベルデスクのインターネット予約サイト「STORES」(クレジットカード決済のみ)で、8月23日9時30分から発売。S班はすぐに売り切れた模様です。

「SLあそBOY」の運行区間にある宮地駅では「阿蘇マルシェ」を開催予定。また、肥後大津駅・立野駅ではお出迎え・お見送り(おもてなし)を計画中。

「SLあそBOY」の魅力は阿蘇の急勾配を登り、途中の立野駅では、構内で2度進行方向を逆向きにして標高を稼ぐ3段スイッチバック駅となっているなど、山岳路線らしいダイナミックな景色が魅力です。


3段スイッチバックの最上段を走る「SLあそBOY」(2005年撮影)

前述した通り、JR九州のSL列車は2024年3月で終了します。そんな中で特別運行する豊肥本線のSL列車。もしかすると豊肥本線ではこれが最後になるかもしれないので、ぜひ乗り納め、見納めをしたいところです。

(ぬまっち)