真っ当に進化するも流行に乗り遅れ:2代目U31系(2003年)

出典:flickr.com Author:Rutger van der Maar CC BY 2.0

アレコレと問題があった初代プレサージュですが、いよいよ経営破綻しかけた日産が事実上のルノー傘下入り(1999年)、再建を図る過程では貴重な「いくらかマトモで拡販すべき車種」としてリストラを免れます(兄弟車バサラは売る気もなくアッサリ廃止)。

2003年のモデルチェンジでようやく2代目セフィーロの後継たるFFラージセダン、ティアナのFF-Lプラットフォームがベースとなり、無駄な高床問題も解決されると、後席両側スライドドアの、真っ当な高級ミニバンとして再出発しました。

その進化ぶりたるや、1990年代後半の混乱がウソのように真っ当なもの。

2列目シートは分割して2人乗りキャプテンシート、結合して3人乗りベンチシートになる「セカンドシート横スライド機能」と、運転席からのスイッチ操作で助手席側シートが前傾&前方スライド、3列目への乗降が楽な「セカンドシートリモコンウォークイン」を装備。

3列目シートも快適性こそ初代よりマシになった程度なものの、簡単にパタパタと前に倒せて、2列目を少し前にスライドさせればシートバックをさらに回転させて2列目後方へ収納、段差のないフラットで広大な荷室が現れる…と実用性は抜群!

インテリアは前期型でプリメーラ(3代目)風のセンターメーター、後期型はセンターメーターを廃してティアナ風の明るい色調のインテリアに木目調パネルと高級感ある作りになり、満足度の高いものになっていました。

しかし、「マトモなミニバン」になった2代目プレサージュがヒットすることはなかったのです…

その頃、目標だったオデッセイは機械式立体駐車場の大半へ入庫可能な全高1,550mmの超ロールーフ化、スポーツミニバン路線を極め、2列目横スライド機能を先取りしてスペース効率も高いロールーフミニバンは2代目マツダ MPV(1999年)がデビュー済み。

広々とした車内空間は2代目セレナ(1999年)や初代トヨタ アルファードといったFF低床ハイルーフ車の独壇場になっており、2003年になってから「スペース効率が高くて走りもいいけど、どっちも際立ったところのない2代目プレサージュ」の居場所はありません。

クルマ自体は特に何が悪いわけでもないのですが、初代の段階でも作れたはずのクルマを、5年後の2代目でようやく形にできた頃には、かえって流行遅れのクルマになっていた、というのがプレサージュの不幸でした。

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