FF車とは?

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FF車とはフロントエンジン・フロントドライブの略称であり、車の前部にエンジンが位置し、前輪を駆動する車を指します。前輪駆動車およびFWD(Front Wheel Drive)車とも呼ばれます。

歴史のなかでは比較的新しい駆動方式であり、日本では1970年代以降にFF化がはじまりました。現在の車はほとんどがFF、またはFFベースの4WDに切り替わっています。

FF車の構造と特徴

FFの大きな特徴は、前輪が駆動と操舵を兼ねている点です。それにより、動力源であるエンジンと、トランスミッションやデフなどの駆動部すべてが車体前部に集約できるため、動力部分を小さくしたぶん室内スペースを広くすることができます。

操舵輪に駆動力を伝えるには、動力伝達のためのドライブシャフトを曲げる必要があります。FFの黎明期であった1970年代は、このドライブシャフトのジョイント部の開発に苦労し、FF車の開発を断念したメーカーもあった程でした。

また登場初期のFFはハンドルが極端に重かったり、真っすぐ走らないなどの問題もありましたが、現在ではパワーステアリングやサスペンションの改良で解消しています。

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FF車のメリット

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室内空間が広く取れる

動力源と駆動部がすべてボンネットの下に収まるため、車体は小さくとも室内空間を大きく取れるのがFFのもっとも大きなメリットです。2000年以降は1BOXカーやミニバンにもFFが採用され、限られた車体寸法のなかで、より広い室内空間を実現しています。

直進安定性に優れる

前から車を引っ張るように駆動するFFは、後から押し出すように駆動する後輪駆動車よりも直進安定性に優れます。ほとんどの状況下で強く直進しようとするため、後輪駆動車のようにスピン状態に陥ることが少なく、高い運転技術が不要になる点もFFのメリットです。

悪路に強い

駆動輪である前輪輪に車重の大半が集中するFFは、タイヤグリップを安定して使える特徴があります。エンジン重量によって駆動輪が押さえつけられるため、とくに濡れた路面や雪道、砂地やぬかるんだ滑りやすい路面での発進性能に優れています。

価格が安い

FFは、負担が少ないリアサスペンションやリアブレーキを簡素にできるため安価につくれます。また、FFが広く普及したことで部品共有が進み、さらに安価につくれるようになりました。構造上、4WD化が容易であることも価格に関するメリットといえるでしょう。

燃費性能に優れる

駆動部分が車体前半で完結しているFFは、後輪に駆動力を伝達するプロペラシャフトが必要ありません。動力伝達ロスが大きくなりがちな長いプロペラシャフトが不要になるうえ、部品点数を削減し軽量につくれるため、FFは燃費性能でも有利です。

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