高速道路の利用でスムーズな通行料の支払いができる「ETC」は、今や車に欠かせないアイテムとなりました。近年はスマートフォンやカーナビとの情報連携が可能となった「ETC2.0」が、日本国内を走るおよそ800万台の車に装着されています。

しかし“2022年”と“2030年”、それぞれのタイミングでみなさんが持っているETCの車載器が使えなくなるかもしれません。

現時点で「ETC2.0」でなければならないメリットはごく僅かだが…

そもそも、ETC2.0の車載器でなければならないメリットには何があるのでしょうか。

ETC2.0のメリットは、“ITSスポット(高度道路交通システム)”と呼ばれるインフォメーションサービスを利用できる点です。高速道路を走行しているタイミングで、急カーブや事故多発地点、渋滞情報などの状況を音声や画像表示で配信しています。

さらに近年では、ETC2.0搭載車を対象に神奈川県や東京都、埼玉県、千葉県を繋いでいる「圏央自動車道」の通行料金が割引となる施策が2016年4月より開始。加えて、高速道路のSA・PA(休憩施設)同士が25km以上離れているのを条件に、途中のICを退出して2km以内にある道の駅を利用できる「一時退出・再進入」のサービスも導入されています。

上記の通行料割引や一時退出のサービスはETC2.0の車載器を搭載していれば利用できるため、該当する高速道路を利用する機会が多い人にはメリットとなるでしょう。

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しかし現状は、ごく限られた路線でしか通行料割引を受けられなかったり、一時退出・再進入が利用できなかったりと、「ETC2.0はなくてはならないもの」ではありません。

圏央道以外でETC2.0の通行料割引を行っているのは、愛知県・岐阜県を繋いでいる「東海環状自動車道」のみです。加えて、道の駅での休憩目当てで一時退出・再進入ができるICは全国で23ヵ所(2022年8月時点)となっています。

また、ITSスポットから発信される情報を得るには、専用の車載器といっしょに対応機種のカーナビやスマートフォンを用意しなければなりません。

上記の現状を鑑みると、ETC2.0を選ぶメリットはごく僅かであるといってよいでしょう。

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“2022年”は一応大丈夫?古すぎるETC車載器は要注意

ところが2022年と2030年、ETC車載器が一斉に使えなくなる可能性があります。

直近に控えているのが「2022年問題」です。2018年、国土交通省と全国の高速道路会社が連名で、総務省が管理している「電波法」が改正されたことに伴い、2007年以前に製造されたETC車載器を使えなくなる旨が発表されました。

これは、古くから使われている車載器が電波法の改正である「スプリアス」(不必要な電波のこと)の許容値が見直されたことに関連して、旧型の車載器を一斉に取り払う意図で実施されるものです。

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当初は「2007年以前製造のETC車載器を、2022年12月1日以降に使用すると法律違反」という内容でしたが、2021年8月、国土交通省の発表により2007年以前製造のETC車載器の使用期限が「2022年12月1日」から「当面の間」に変更されています。

猶予となる期限が「当面の間」となったため、しばらくは旧型のETC車載器を使用継続していても問題ありません。ただし、2000年代前半に製造・購入した車にずっと乗っているなどの理由で、ETC車載器を故障なく使っているなら、今後注意すべきでしょう。

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