ラリーカーはレースで勝利することが最優先であるため、一般車には当然のようにある装備が取り外されています。例えば屋根をよく見ると、「謎の穴」が空いています。これには一体どのような役割があるのでしょうか。

「エアコンがなければ窓を開ければいい」が許されない?

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ラリーカーはレースで勝利することが最優先であるため、楽しさや快適さを目的とした装備は外されていて、エアコンなどの空調設備は搭載されていないことが多いです。

暑さを凌ぐためには窓を開けたいところですが、実はラリーカーは窓を開けて走ることができません。転倒した際には、車外に放り出されたり、外から車内に石や砂などの障害物が侵入してくることもあるため、窓を開けられないような設計となっていることが多いからです。

そのため、屋根に穴を開けて走行中の外気を車内に取り込めるようにしています。この穴は「エアインテーク」と呼ばれるものですが、ボンネットに取り付けてエンジンルーム内に外気を送る穴とは役割が少し異なるのです。

さらに、屋根にエアインテークが設けられている理由として、サイドウインドウを開けてしまうと空気抵抗が増えて車の速度に影響してしまうことも挙げられます。

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屋根に穴を開けただけで快適になるの?

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このように、ラリーカーにしかないような装備や仕様は好きな人にとって憧れと言えるかもしれません。過去には、屋根にエアインテークが装備されている一般車が市販されていたこともあります。

「屋根に穴を開けただけで快適になるの?」という疑問が生まれますが、筆者は実際、某大学の自動車部で、学生らが競技で使用するための車両の屋根に、エアインテークを自作で取り付けたという車に試乗したことがあります。

そのとき、エアインテークからかなりの量の外気を取り込めることに驚きました。雨漏りもなく快適だと学生らは話していました。

しかし、むやみに屋根に穴を開けると、車検に通らなくなってしまったり、修復歴として記録が残って売却時の査定に影響したりする可能性もありますので、どんなに暑くても改造には注意が必要です。

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