白、黒、シルバー、冠婚葬祭からフォーマルな場まで、どこでも乗り付けられて都合がよく、悪目立ちしないボディカラーが日本では人気ですが、それらに準じて落ち着いたボディカラーなのに、なぜか意外と少ないのが茶色系のボディカラーです。

もっとも少なくなったのは1980年代以降のクルマですから、表面を円滑にしたフラッシュサーフェス化など近代デザインとは折り合いがつきにくいのかもしれませんが、旧車やレトロ調のクルマでは「味がある色」と言えます。

今回はそんな「茶色が似合うクルマたち」から、厳選した3台を紹介しましょう。

ホンダ シビック(初代・1972年)

ホンダ シビック 4ドア1200GF(初代)

まだ定番の白や黒よりカラフルなクルマが多かった1970年代、さらにコンパクトカーとして、その傾向がより強かった初代シビックですが、中でもラグジュアリーセダンにも負けない重厚感、高級感の強いシビックのボディカラーは、茶色が強く印象に残っています。

黄色や緑、赤やオレンジ系なら若者向けの軽快なコンパクトカーに見えますが、これが茶色など濃色系になると、元がズッシリと安定感ある台形フォルムだけに、ボディカラーだけでワンランク上、プレミアムコンパクトのように見えてくるから不思議です。

逆に、高級感あるクルマほど白以外の淡色系や明るい色を使わなくなっていったのは、意外性を狙うケース(ピンクラウンなど)を除き、ラグジュアリー性を損なわないためでもあるのでしょう。

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日産 4代目セドリック/5代目グロリア(330系・1975年)

日産 セドリック 4ドアセダン 2000SGL(4代目330系)

ライバルのトヨタ クラウンがハイソカーブーム時代のホワイトや、いかにも公用車然とした黒や濃紺の印象が強いのに対し、日産のセドグロ(セドリック/グロリア)、それも230系や330系は茶色の印象が強く、おそらく国産高級セダンでもっとも茶色が似合うクルマです。

フラッシュサーフェス化でスマートなデザインとなる、430系以降なら白黒シルバーが似合うようになっていきますが、230系後期から330系のセドグロは2ドア/4ドア、セダンかハードトップかに関わらず、どのグレードでも茶色のイメージが強く残っています。

実際、他のボディカラーもあったとはいえ、筆者が幼い頃に新車で売っており、街を走るセドグロの多くは茶色だったように記憶しており、ガチガチの保守系なクラウンよりも、よほどシブくてカッコよく思えたものです。