日本では「軽自動車メーカー」の印象が強く、世界的に見ても新興国向けの安価な小型車が多いスズキにとって、側面から見た「シルエットが美しいクルマ」は無縁なようにも思えます。
しかし、かつてはフロンテクーペや4代目キャリイなど、巨匠ジウジアーロのデザインを元にした美しいクルマを作っていたメーカーでもあり、GMグループ傘下時代には、安価でも安っぽく見えないクルマ作りも高い評価を得ていました。
今回はそんなスズキから、数は少なくとも「シルエットの美しいクルマ」を紹介します。
カプチーノ(1991年)
唯一の軽FRオープンスポーツだからこその美しいシルエット
パワートレーンこそジムニーや軽商用車の流用ながら、EV時代に入らなければ復活は不可能であろう史上唯一のFR軽オープン2シータースポーツ、しかも4倫ダブルウィッシュボーン独立懸架の本格派というカプチーノゆえに、シルエットは完璧です。
確かに軽自動車規格ならではという寸法の制約はあるものの、ロングノーズ・ショートデッキの古典的FRスポーツカースタイルを実現しており、タイヤを可能な限り四隅に配したロングホイールベースで、車格の割に立派にすら見えます。
キャビンばかりはボディが小さいため相対的に大きく見えますが、フルオープンなら問題はなく、歴代スズキ車でもっとも、「スポーツカー的な意味でシルエットの美しいクルマ」と言えるでしょう。
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カルタスコンバーチブル(1992年)
ハッチバック車ベースのオープンカーではピカイチ!
1980年代から1990年代前半までちょっと流行った「2BOXハッチバック車やコンパクトクーペがベースのオープンカー」ですが、ホンダ シティ(初代)やマツダ ファミリア(6代目)のように、安全性のためとはいえ転倒時保護用のロールバーがあっては少々興ざめ。
完全フルオープンが望ましいのですが、その中で意外にも秀逸なのが、元より低価格車の割にかっこいいデザインの2代目カルタスに設定されたコンバーチブルで、特にオープン時のシルエットは、元からこういうオープンスポーツだっけ?と思ってしまう美しさ。
ハッチバックゆえ重たさを感じさせたキャビン後部がないため直線的かつスマートで、スピード感や爽快さを感じさせるカルタスコンバーチブルは、見直されていい存在です。