本編では不遇な扱いながらシンプルかつスタイルの良いフォルムを推す声も。BANDAI SPIRITS「HG 1/144ウイングガンダム」 (C)創通・サンライズ

【画像】誰がメロンじゃい! こちらが名前に「ガンダム」とあるのに不遇な機体たちです(4枚)

初登場で海底へ

 これまでに多くの作品が生まれたアニメ「ガンダム」シリーズのなかには、主役機なのにあまり見せ場に恵まれなかったり、扱いがひどすぎたりといった、名前に「ガンダム」を冠する実に不遇な機体が見られます。

 その代表例として名前の挙がることが多いのは、『新機動戦記ガンダムW』で主人公の「ヒイロ・ユイ」が駆る「ウイングガンダム」です。

 第1話で地球に送り込まれたウイングガンダムは、量産機の「リーオー」を駆る敵組織「OZ(オズ)」の「ゼクス・マーキス」と戦った結果、早くも敗れて海中に没してしまいました。続く第2話でも、海中から引き揚げられようとしますが、機密保持を優先したヒイロによって、またもや海の底へ沈む羽目になっています。

 さらに災難は続き、第10話で敵組織からコロニーを人質に「ガンダム」の引き渡しを要求され、ウイングガンダムを製作した博士が引き渡しを拒否したためにヒイロは機体を自爆させています。

 その後、ウイングガンダムは第16話で「ゼクス」に修復されてヒイロの手に戻ってきました。しかし同話でのゼクスとの決闘においてヒイロは、せっかく直ったウイングガンダムではなく、重火器を搭載した「ガンダムヘビーアームズ」を借りて挑んでいます。つくづくウイングガンダムは見せ場に恵まれていません。以降は宇宙に舞台が移るため、地球に置いていかれたウイングガンダムの出番は、長い間なくなってしまいました。

 余談ですが、前番組の『機動武闘伝Gガンダム』の最終話にもウイングガンダムに良く似たモビルスーツが一瞬だけ登場し、目立ったところもないまま撃墜されています。

『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』に登場した「セイバーガンダム」も、作中での扱いから弱い印象を持たれてしまう不遇なガンダムです。最後の出番となった第28話で、パイロットの「アスラン・ザラ」が「フリーダムガンダム」を駆る親友の「キラ・ヤマト」と刃を交えた場面が原因のひとつです。

 自分の戦うべき本当の相手が誰なのか迷っていたアスランは、それでもキラと一進一退の攻防を繰り広げます。しかし、最後は機体をバラバラに切り刻まれてしまいました。

 もっとも、ほかの相手には格の違いを見せており、敵拠点の制圧に挑んだときには、防衛の要になっていたモビルアーマーを単騎で撃破しています。

 セイバーガンダムは、おもに機動性の面で優秀な機体ですが、最後のやられかたが強く印象に残ってしまったために、弱いと評価されてしまう不遇な機体でした。



「AGE-3 オービタル」は高い機動性を持つも、劇中ではあまり活かされなかった。BANDAI SPIRITS「HG 1/144 ガンダムAGE-3 オービタル」 (C)創通・サンライズ

(広告の後にも続きます)

初登場で敵の手に

 不遇といえば、『機動戦士ガンダムAGE』に登場した「ガンダムAGE-3 オービタル」も、作中での扱いの悪さが目立ちます。その初陣となった第35話および第36話では、敵の量産機を相手に強さを見せつけるも、指揮官専用機には苦戦を強いられ、最後は敵に捕まってしまうというありさまです。

 その後、何とか敵の拠点から脱出するも、そこへ相手の総司令官が乗った「ガンダムレギルス」が現れ、その圧倒的な力の前に歯が立ちませんでした。

 同作は、最初に主人公だった「フリット」の子供時代から彼の孫である「キオ」の時代まで、3世代に渡る物語が描かれています。そのため1世代に費やせる時間が短くなり、物語は全体的に駆け足で展開されていきました。

 そのようななかで次々に新しい機体も登場し、前述のレギルスとの戦いのさなかにも新主人公機「ガンダムAGE-FX」の登場が控えています。見せ場を作る時間が足りなかったことで「当て馬」のようになってしまったのも、AGE-3オービタルが不遇に感じるポイントでしょうか。

 上述した3機とも、主役級の「ガンダム」なのに、不遇な扱いを受けているのが特徴だといえるでしょう。

 しかしウイングガンダムが、別シリーズの『ガンダムビルドファイターズ』で「ウイングガンダムフェニーチェ」として改めて見せ場を与えられたように、今後「セイバーガンダム」と「ガンダムAGE-3オービタル」にも、別作品で名誉を挽回する機会があるのかもしれません。