『らーめん才遊記』の名物キャラのまさかの女性化に、読者も動揺!画像は『ビッグコミックスペリオール 2020年5号』(小学館)

【画像】女性化しても雰囲気は似てる? ビックリした「実写版」のキャラを原作と比較(7枚)

大人の事情で女性に変更?

 マンガの実写化は、原作が人気であればあるほど「あのキャラクターを3次元に再現できるわけがない」「推しの再現率が低かったら嫌だ」と、厳しい意見も生じる傾向にあります。

 それでも制作側は少しでもビジュアルが近いキャスティングをし、メイクや衣装を再現する形でなんとかキャラクターの造形に近づけようとしていますが、それでも完全再現は難しいといえます。そして、さまざまな事情から思い切って、キャラクターの性別が変えられているパターンも少なくありません。

まさかのヒロインポジションに!『カイジ 人生逆転ゲーム』遠藤勇次

 ギャンブルマンガの金字塔「カイジ」シリーズ(作:福本伸行)は、3作に渡って実写映画が制作されています。原作マンガはほぼ男性キャラクターしか出てこないも特徴のひとつですが、実写映画では、主人公・カイジをギャンブルの世界に招き入れるキャラ・遠藤勇次が、女性の遠藤凛子へと変更されました。

 原作マンガでの遠藤勇次は、債務者となったカイジを口車に乗せて、ギャンブル船「エスポワール」へと送り込むキャラです。一方で、実写映画での遠藤凛子は、終盤の「Eカード」で軍資金を使い果たしたカイジに利子付きとはいえ5000万円を貸し付けてくれるほか、最終作『カイジ ファイナルゲーム』ではゲームに勝つ重要なヒントを与えてくれるなど、カイジをサポートする役割となっています。原作の遠藤もカイジと共闘したことはありますが、より「仲間」としての側面が強まっていました。とはいえ、最終的にカイジから金を持ち逃げする手口は原作よりも酷いと言えます。

 遠藤凛子を演じた天海祐希さんは男性中心のキャストの中でも圧倒的な存在感を見せており、怒鳴ったりテーブルを蹴飛ばしたりするシーンでも、気品あふれる印象を与えていたのは天海さんだからこそといえるでしょう。実際に「美しくて見惚れた」「男臭い作品になるところだったから、逆に良かったかも」「原作より遠藤の立場偉くなってるから、天海さんは合ってる」と好意的な意見も見られます。

ラーメンハゲが女性に?『らーめん才遊記』芹沢達也

 リアルなセリフや描写を交えながら、ラーメン店を経営するうえでの課題やラーメン店同士の対決を描いたマンガ「ラーメン発見伝」シリーズ(原作:久部緑郎、作画:河合単)は、人気キャラクター・芹沢達也の存在がSNSを中心に広く知られています。

「いいものなら売れるなどというナイーヴな考え方は捨てろ」「お客様は神様などではありません」と、固定概念をバッサリ切り捨てる名言を数多く残す芹沢は、髪の毛がラーメンに入らないようスキンヘッドにしているビジュアルから「ラーメンハゲ」と呼ばれているキャラクターです。

 そんな芹沢は、2020年4月に放送された実写ドラマ『行列の女神~らーめん才遊記~』で、鈴木京香さん演じる女性キャラ・芹沢達美に改変されています。当然ながらスキンヘッドではなく、苦戦しているラーメン店を繁盛店に導いていく凄腕の女性フード・コンサルタントのキャラクターだったため、「芹沢さんはハゲだからいいのに」「全然別物では?」「女性化してもいいけど、スキンヘッド設定は守って欲しい」と戸惑うファンも見られました。

 その一方で、「芹沢さん本人は合理的に『実写版で自分が女性になるのはヒットのために必要』認めそう」「逆に男性のままだったら変な「恋愛要素」が入りそうだから、女性で良かったかも」という意見もあります。

 芹沢はラーメンへのこだわりが強過ぎるあまり、怖い顔でストイック過ぎる発言をするシーンも多々見受けられます。それでも読者から嫌われないのは、他人を貶めるような卑劣な行動をせず、ラーメンに真摯に向き合っているからでしょう。そんな芹沢を、女性が演じることでまた別の魅力が生まれたのかもしれません。

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実写オリジナルだけど、スピンオフ作品まで作られた人気キャラクター

美し過ぎる闇金融の女経営者に? 『闇金ウシジマくん』滑川秀信



美人なのに、食事シーンの衝撃も話題!画像はドラマ『闇金ウシジマくん外伝 闇金サイハラさん』キービジュアル (C)2022 真鍋昌平・山崎童々・小学館/ドラマ「闇金サイハラさん」製作委員会・MBS

「10日5割(トゴ)」という、法外な金利で金貸しをする闇金融業者「カウカウファイナンス」と、債務者たちの人間模様や社会の闇を描いた人気漫画『闇金ウシジマくん』(作:真鍋昌平)は、アウトローで強面なキャラクターが多く、ドラマ、映画と実写化作品でも闇の社会を描いたダークな雰囲気は損なわれていませんでした。

 実写化ではさまざまなキャラの設定が変わっていましたが、特に大きな変更点は準レギュラーの滑川秀信(なめりかわ・ひでのぶ)の設定を引き継いだ女性キャラクター、犀原茜(さいはら・あかね)の存在です。

 原作の滑川は主人公・丑嶋の天敵であり、カウカウファイナンスの後ろ盾についているヤクザの一員でした。実写ドラマ、映画を手がけた山口雅俊監督は、インタビューで「当初は男性でのキャスティングを進めていたがキャステイングが難航した結果、性別を変更した」と語っています。

 結果として滑川は闇金融「ライノー・ローン」の女経営者で、丑嶋を敵視するキャラクターとなり、女優の高橋メアリージュンさんが演じることとなりました。債務者にはきつく対応する反面、部下の村井には欲しがっていた帽子をプレゼントするなど優しさを見せる犀原は人気を集め、彼女が主人公となるスピンオフドラマ『闇金ウシジマくん外伝 闇金サイハラさん』も制作されています。

 美しいビジュアルが印象的な犀原ですが、作中では「字幕がないとわからない」と話題になった早口でキレる様子や、滑川と同じく食べ方が汚い描写など、衝撃的なギャップも魅力のキャラクターです。もしもキャスティングが難航せず、原作通りの滑川が実写化でも登場していたら存在しなかったキャラだと思うと、これはこれで良かったのかもしれません。

人気原作のキャラクターがまさかの女性に!『黒執事』シエル・ファントムハイヴ

 名門貴族のファントムハイヴ家の当主・シエルと、家事から戦闘まで完璧にこなすセバスチャンがイギリスの女王陛下から命令を受け、未解決事件や奇妙な現象の真相を追うマンガ『黒執事』(作:枢やな)の実写映画は、物語の舞台が19世紀のイギリスから2020年の西洋と東洋の文化が入り乱れるアジア某国へと変更されています。

 さらに実写映画において大幅な改変が加えられていたのは、品位・教養・武術・料理・容姿など、すべてにおいて完璧な執事、セバスチャンに無理難題をふっかけるわがままな主人、シエル・ファントムハイヴのキャラクターです。12歳でありながら、玩具・製菓の一流メーカー「ファントム社」を経営する天才実業家のシエルは、実写映画では剛力彩芽さん演じるファントムハイヴ家の末裔である男装の少女、幻蜂汐璃(げんぽう・しおり)に置き換えられています。ファントムハイヴ家では男子のみが当主となることを許されることから、汐璃は男装の姿で「清玄」(きよはる)と名乗り、素性を隠しながら両親を殺した敵を追う……という役柄です。

 原作が人気なこともあり、キャストが発表されたときは戸惑う人が続出、公開後は「設定含めいろいろ違うから、『黒執事』の実写化とは別物として見た」「もともとシエルが女顔だから、女性が演じること自体はあんまり違和感がない」という感想も見られました。