悟空と親友のクリリン。『DRAGON BALL #4』DVD(ポニーキャニオン‎) (C)バードスタジオ/集英社・フジテレビ・東映アニメーション

【画像】ギャップがスゴい! 「テコ入れ」で大ヒットしたジャンプ作を見る

テコ入れが無ければ歴史的マンガは打ち切りになっていた!?

 編集者の「テコ入れ」は、マンガの命運を左右します。人気があっても展開次第では「迷走してる」「引き伸ばしだ」と揶揄されることもある一方、話題にもならずに消えていくマンガも少なくありません。

 そしてマンガをつくるうえで作者はもちろん、編集者も必要不可欠な存在です。例えば「週刊少年ジャンプ」の伝説的編集者である鳥嶋和彦氏は、何より読者に伝わる作品を作ることを大切にされているとのこと。そして読者の反響が悪ければ、何かしらのテコ入れを行うのです。

 意外かもしれませんが、今回ご紹介する『ドラゴンボール』『キン肉マン』『遊☆戯☆王』は、いずれもテコ入れによって超V字回復した作品です。

アラレちゃん効果はあったが……『ドラゴンボール』はジリ貧だった

『ドラゴンボール』は、鳥山明先生による歴史的な大ヒットマンガです。前作『Dr.スランプ』の影響や編集部のバックアップもあり、連載当初の評価は悪くありませんでした。しかし、徐々に人気は低迷し、読者アンケートでは10位以下に……。

 このままでは打ち切りというタイミングで行ったテコ入れが、「天下一武道会」です。それまでは悟空のキャラクターが読者に伝わらないのが課題でした。そのため、彼を象徴する「強くなりたい」という思いを明確に表現する場所が必要だったのです。

 さらに「天下一武道会」の修行編において、武術の師匠として亀仙人、最初のライバルとしてクリリンを登場させました。悟空と違ってズル賢い性格のクリリンを描くことで、悟空の愚直なキャラクターが際立ちました。

 一連のテコ入れによって、『ドラゴンボール』は大人気作品に飛躍したのです。

元祖テコ入れ作品? 『キン肉マン』の路線変更

 1979年、ゆでたまご先生により『キン肉マン』の連載がスタートしました。本作品は、今でこそ超人プロレスマンガとして認知されていますが、連載初期はギャグマンガでした。主人公のキン肉スグルはダメ超人扱いを受けており、他作品のパロディネタも散見されます。

 しかし、「超人オリンピック」が『キン肉マン』の転機になります。ゆでたまご先生いわく、1話完結のギャグマンガを続けるつもりだったものの、読者から評価されたのはプロレス回でした。そこで読者の反応に応じて「超人オリンピック」を開催したところ、人気が沸騰。そのまま成り行きでプロレスマンガに路線変更したとのことです。

 大胆なテコ入れですが、アニメ・映画・「キンケシ」など幅広く展開し、社会現象を巻き起こしました。

カードゲームの登場で『遊☆戯☆王』の運命が変わった

 原作『遊☆戯☆王』のメインコンテンツは、「マジック&ウィザーズ(アニメやゲームでの名称は「デュエルモンスターズ」)」と呼ばれるカードゲームです。ただ、連載初期はカードバトル限定のマンガではなく、主人公・遊戯が色々なゲームを通じて悪人を懲らしめるストーリーでした。「マジック&ウィザーズ」自体は序盤に登場して好評を博しましたが、あくまでゲームのひとつでしかなかったのです。

 そして人気が低迷し始めたころに「マジック&ウィザーズ」を再登場させると、一気に大人気マンガに上り詰めました。また、悪の人格のような描かれ方をしていた通称「闇遊戯」も、遊戯の良き理解者として掛け替えのない存在になったのです。

 もしも編集者によるテコ入れが無かったら、ジャンプマンガの歴史は大きく変わっていたことでしょう。