『アキバ冥途戦争』 (C)「アキバ冥途戦争」製作委員会

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オリジナルアニメは当たりハズレが大きい?

 2022年秋スタートの新作TVアニメは約40作品。話題性の高いマンガやゲームの原作アニメが圧倒的に多いなかで、約10作品の「オリジナルアニメ」がスタートします。今回は、この「オリジナルTVアニメ」のメリット・デメリットを考えます。

 先に原作アニメの強みはどこにあるのでしょうか。言わずもがなですが、放送前から認知度が高いため、原作ファンが視聴してくれる可能性が高いです。物語は原作通り進行するのが基本ですが、オリジナルキャラクターを登場させたり、原作にはない展開をつくって進行具合を調整したりと、多少の違いをつける工夫が好評だったり(不評だったり)、そこが妙味でもあります。原作でヒット、さらにアニメでメガヒットを狙うわけですが、もしアニメに火が付かなくても大ハズレはしないといえます。

 一方のオリジナルはゼロからのスタートです。リスクが伴うためスポンサーが付きにくく低予算というケースも少なくありません。原作アニメより条件的には不利というのが単純なデメリットといえます。しかしオリジナル最大のメリットは「自由」です。企画段階でどんな作品が当たるか?という先読みがカギ。原作アニメとは逆に視聴者は初見となるため、誰も物語の先を知りません。ですから時代にハマると爆裂メガヒットに育つ可能性を秘めているわけです。

難しいオリジナルTVアニメ

「オリジナル作品を当ててこそ一流」という人もいます。アニメクリエイターなら原作のアニメ化ではなく、自分で考えた企画をアニメ化するのが夢という人も多いでしょう。ただ、近年、オリジナルTVアニメの企画・制作はハードルが高くなっているとされています。確かにオリジナルは減少傾向でメガヒットといわれる作品もあまり見られません。昔は視聴率やアンケートなどの反応を見て内容をテコ入れしヒットにつなげた作品がたくさんありました。『機動戦士ガンダム』も『新世紀エヴァンゲリオン』も最初の評判は芳しくありませんでしたが、自由に試行錯誤を重ね、のちに社会現象を起こす大ヒットにつなげたわけです。

 しかし、今や見逃し配信やVODでまとめて視聴する人も多く、また地上波・BSのレギュラー放送なら1クール12話前後で終了する作品がほとんどなので、視聴者のリアクションを受けてのテコ入れは難しくなっています。つまり昔ほど臨機応変につくれる自由はないわけです。そんななか、逆に、いつでも何度でも観られる利点から“そのうちヒット”を狙ってか、オリジナルアニメの制作に積極的な配信サービスもあります。

 今、TV番組の放送形態が変わる時期にさしかかっています。アニメ番組そのものの在り方やオリジナルTVアニメのメリットとデメリットに今までと違うポイントが出てくるかもしれません。

 最後に2022年秋スタートのオリジナルアニメから注目したいタイトルを3つ挙げます。

『アキバ冥途戦争』
 Cygames × P.A.WORKS のタッグで贈る、オリジナルTVアニメ。可愛いメイドさんになることを夢見て上京した和平なごみ。“世紀末”のアキバのメイドカフェ「とんとことん」で展開される、ご主人様お嬢様に贈るお仕事奮闘記。

『忍の一時』
 忍者は存在しないと思っていた普通の男の子・櫻羽一時が、自身の正体を知ったことで忍者の戦いに飛び込むことになる、“現代忍侠”アクション。監督は『NARUTO -ナルト- 疾風伝』演出などを手がけた渡部周氏。

『永久少年 Eternal Boys』
 平川大輔さん・小西克幸さん・福山潤さん・浪川大輔さん・森川智之さん・佐々木望さんらが演じるアラフォーの“おっさん”6人が、年齢や体力の壁を乗り越えてアイドルを目指す。