お人好しすぎて仕事が増えて… (C)あきばさやか/KADOKAWA

【マンガ】裾を引きずっていることを伝えようと女性を追いかけると、巨大な「何か」に飲み込まれてしまって!? 第1話を試し読みする

不器用なお人好しさんへ贈られる、「不思議なひと時」が最高!

 他人に優しくしたり、誰かのために頑張ったりするのに精いっぱいで、なかなか自分をいたわることができない人がたどり着く、『スパあんこうの胃袋』が今宵、開店します。不器用なお人好しさんの善意に気付いた深海魚たちが、癒やしのひと時へいざないます。

 あきばさやかさん(@akiba_sayaka)による、『スパあんこうの胃袋』が2022年7月14日より発売中です。Twitterで公開された第1話には7万ものいいねがされた話題作です。読者からは「心の底から癒やされる」「一気読みして、泣きました!」「切実に行きたい……」という声があがっています。作者のあきばさやかさんに、作品についてお話を聞きました。

ーーあきばさやかさんの漫画家デビューの経緯を教えて下さい。

 広告会社の営業職として勤務していましたが、2014年にイラストレーターとして独立しました。2015年からブログに自分の体験をもとにしたマンガの投稿を始め、ありがたいことにそれが2016年に書籍化。その後も、ブログに日常マンガを描き続け、数冊書籍を発売しました。そして2021年に、ずっと描いてみたかった創作マンガに挑戦しました。その1作目が『スパあんこうの胃袋』です。元々は短編のつもりだったのですがSNSに投稿したところ、たくさんの反響があり、書籍として発売することになりました。

ーー『スパあんこうの胃袋』のお話が生まれたきっかけは何ですか?

 第1話で主人公がコートのひもを引きずって歩いている人を追いかけますが、実際にそういう方を見かけました。そこで、自分もよく「リュックが開いていますよ」や「よかったら席座りますか?」など、「親切な人に声をかけてもらうなぁ……」→「ありがたいなぁ……」→「そういう人たちみんなに何か、いいことがあったらいいのになぁ……」と発想をつなげていきました。

 親切な人たちだけを集める仕掛けを考えたときに、「アンコウがエサを誘い寄せるために使っている擬餌状体(エスカ)みたいなものはどうだろう?」→「アンコウの擬餌状体に誘き寄せられて飲み込まれた先がどうなっていたら楽しいかな……」→「そういう親切な人は疲れることもありそうだから温泉がいいかな。どんな設備があったら疲れが取れるかな?」→「そこにたくさんの深海魚が出てきたら楽しそう!」と、どんどん妄想していって、『スパあんこうの胃袋』が生まれました。

ーー『スパあんこうの胃袋』には多数の癒やしコーナーが登場します。もし、あきばさやかさん自身が『スパあんこうの胃袋』に入れたら、絶対に外せない場所はありますか?

 執筆当時は第2子を妊娠中だったので、第2話に出てくる「妊娠中、授乳中でも飲めるバー」は「超行きたい……!」と思いながら描いていました(笑)。あとは「30分で8時間睡眠分回復するベッド」ですね。今、10か月の第2子は、まだ朝まで寝てくれず夜中何回か起こされるので、寝不足です……。



著:あきばさやか『スパあんこうの胃袋』(KADOKAWA)

ーー作品にはたくさんのコメントが寄せられています。特に印象に残った読者の声について、教えて下さい。

「泣いた」「涙が出た」という声が多かったことに、とても驚きました。「泣かせる話を描くぞ!」と思って描いていなかったのですが、各主人公に私の思いのいろいろな部分を代弁してもらっている側面があるので、その部分に共感いただけたのだとしたら、すごくうれしいことだなと思いました。

ーー書籍『スパあんこうの胃袋』の収録内容で、見どころについてご紹介いただけますか?

 Webで公開している5話に加えて、60ページ以上描き下ろしました。スパの中身や仕組み、名物グルメなどを説明するイラストもあります。お話では単純に「いい人」じゃないキャラクターも登場するので、そこにも注目していただきたいです。

ーー今後発表される作品については、どのように活動していきたいとお考えでしょうか?

 今、次に描きたいお話のアイディアがいくつか溜まっているのと、まだまだ創作マンガを描き始めたばかりで経験を積みたいので、短編をいくつかSNSで発信していきたいなとぼんやり思っています。『スパあんこうの胃袋』の続編も、機会があれば描きたいですね。