父親も「怪しい」とは思っていたのに……(も~さん提供)

【マンガ】父親が騙されかけた理由とは? 警察が来た後も… 本編を読む

詐欺にあいかけた現実は、なかなか認めづらい?

 ある時、漫画家も~さん(@mori2ta)の父親のもとに1本の電話がかかってきます。相手は市役所職員を名乗り、その電話で「還付金の手続き」をすると言い出します。

 当然父親も怪しいとは感じ、一緒にいたも~さんの兄も「詐欺やで」と断言していたのですが……。いったい何が父親の判断を誤らせたのか、その後の警察の対応までまとめたマンガ「父が還付金詐欺にあいかけた話」が、Twitterで反響を呼んでいます。

「マンガで洒落みたいになってるけど、お父様の気持ち痛いほど分かってしまいます」「このお父さんは変なとこでセキュリティ高かったけど、コロっと騙される人多いんだろうな」「周りから言われてても思い込んじゃうって危険だな」「ほぼ同じ手口で祖母が詐欺にあいそうでした!このマンガのおかげで阻止できました!」など、さまざまな感想が飛び交い、Twitter投稿は2.6万いいねの反響がありました。

 作者のも~さんに話を聞きました。

ーー今回の作品を書かれた経緯に関して、お父様から「まんがにして皆に気をつけてって言っといて」と言われた旨が描かれていましたが、最初にこの話を聞いたときはどのように感じましたか?

 還付金詐欺の存在自体は知っていましたが、まさか自分の父が当事者になるとは思わず、驚きました。

ーーお父様が被害に遭わずに済んだ一因として、隣にいたお兄様の冷静な指摘もあったと思います。お兄様は今回の件に関して何かおっしゃっていましたか。

「警察の方が詐欺だと断定してくれてよかった」と言っていました。何事もなくて良かったと安堵しながらも、だから言ったやん!!何で信じへんねん!と不服に思ったそうです。

ーーご家族の方だけでなく、警察官から「詐欺です」と断言されてもまだお父様が戸惑っているのが怖かったです。お父様はどのような心境だったと思われますでしょうか?

 電話の相手がかなり丁寧だったことや、税金や国民保険が例年よりも高かったので、「還付金があるのではないか……いや、あってほしい!!」と、すがるような気持ちが強かったようです。元来父は疑り深い性格なので、自分が詐欺にあうはずがない、という気持ちもあったのではないかと思います。

 また、詐欺の電話は高齢者が被害にあいやすいというのもあり、これが詐欺だったら自分の判断力が疑われてしまう、おじいちゃん扱いされてしまう……という恥ずかしさのようなものもあって、より一層認めたくなかったのではないかと思います。高齢者に限らず、自分も含め、みな気をつけなくてはいけないなと思います。

ーー今回の作品以外のマンガにもお父様がよく出てきますが、実際の生活でも印象に残るようなエピソードが多いのでしょうか?

 今は実家を出ているので会う機会は減りましたが、実家にいた頃は印象に残ることばかりでした! ビールを飲みながらワインを頼んで、なんて豪快なんだ……と思っていましたが、年々気持ちがわかるようになってきてしまいました。



も~さんの単行本『も~さんのもしももしもの妄想ライフ』(リイド社)

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マンガで防犯につながった

ーーたくさんの感想が寄せられていますが、特にうれしかった感想の声、印象に残った読者の声について、教えて下さい。

 うれしかったのは、今回のまんがを読んで、リアルタイムでご家族の詐欺被害を阻止できた! という方のお言葉です。形にして発信して良かったと心から思いました。アドバイスやご意見もたくさんお寄せいただいて、ありがたかったです。父も自省しながら、「まんがにしてくれてありがとう! 面白かったよ。気持ちに寄り添って描いてくれていて嬉しかった。」と感想をくれて、こちらも嬉しかったです。

ーー2022年6月には単行本『も~さんのもしももしもの妄想ライフ』が発売されています。今後はどのように活動していきたいか、お聞かせいただけますでしょうか?

 ありがとうございます!今後も自身の日常を、マイペースに発信していけたらいいなと思います。新しいことにもチャレンジしてみたいですが、とにかく焦らず無理せずゆっくりといきたいです。特に詐欺には気をつけていきます!!!!!