「後楽園ゆうえんち」の地下が基地。『大戦隊ゴーグルファイブ』DVD1巻(東映)

【画像】多種多様すぎる秘密基地も見どころのスーパー戦隊シリーズ作品(7枚)

「バス」も「列車」も「カレー屋」も立派な秘密基地!スーパー戦隊の多様性

 スーパー戦隊シリーズにおいて、ヒーローたちの「秘密基地」は欠かせない存在です。例えばシリーズ第1作『秘密戦隊ゴレンジャー』の基地は、新宿にある「スナックゴン」から隠し通路を経由した先にあります。「秘密」基地なので、世を忍ぶ仮の姿があるところが、子ども心をくすぐりました。

 さて、時は流れ、現在放送中のシリーズ第46作目となる『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』の「基地」はというと……そもそも「ドンブラザーズ」が「組織」としての体裁をなしていません(2022年6月現在において)。結果として、「基地」はオニシスター(黄)のバイト先である「喫茶どんぶら」が実質的な溜まり場となっています。

 長い歴史のなか、戦隊シリーズにおける「秘密基地」のバリエーションはかなり多種多様。この記事ではそのなかでも、思わず「そんなのあり?」と小さく突っ込んでしまいそうな、自由すぎる「秘密基地」を紹介します。

「後楽園ゆうえんち」の地下……『大戦隊ゴーグルファイブ』

 シリーズ第6作目『大戦隊ゴーグルファイブ』の基地である「未来科学研究所」。ここでは宿敵である「暗黒科学帝国デスダーク」を倒すため、日夜を問わず多くの科学研究員たちが働いています。

 かなり大掛かりな基地ではありますが、どこにあるかといえば今も「東京ドームシティ」と名前を変えてスーパー戦隊シリーズのスポンサーとなっている、「後楽園ゆうえんち」の地下にあるのです。ゴーグルファイブのメンバーは皆、この後楽園ゆうえんち職員という仮の姿を持っていました。この現実との地続き感がたまりません。ちなみに、地下基地へと急ぐ場合は「すべり台」ですっ転ぶようにやってきたりします。

ネコバスではなくネコマル……『忍者戦隊カクレンジャー』

 お次は、シリーズ18作目『忍者戦隊カクレンジャー』。忍者戦隊ということもあり、「世を忍ぶ仮の姿」は必要不可欠です。そこで彼らは猫を模したキッチンカーで、クレープの移動販売を行うことに。これがそのままカクレンジャーの基地となります。

「どういうこと?」なんて思ってはいけません。名前は「ネコマル」で、しっかり意思疎通も取れるという設定でした。「移動販売のクレープ屋」と「猫型のバス」という組み合わせが、『カクレンジャー』に漂う原宿カルチャーを若干まぶした雰囲気となんともよく合っていたのです。



「烈車」が基地の『烈車戦隊トッキュウジャー』DVD1巻(東映)

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一般人には見えない車両の独特な雰囲気

お客さんも普通にくるけど……『爆竜戦隊アバレンジャー』

 第27作目の『爆竜戦隊アバレンジャー』の基地はというと、「恐竜や」というカレー屋さんでした。とにかく恐竜好きの店長が経営しており、基地というか住み込みの下宿先といったところです。

 本作ではカウンターの奥にいかにも作戦本部といった隠し部屋が設計されるなど、だんだんと「カレー屋」が「秘密基地」へとメタモルフォーゼしていく過程が楽しめます。それにしても、恐竜型のお皿に盛られた名物カレーは美味しそうでした。

 この「お店」が基地となるパターンは戦隊シリーズのなかでは他にも例があり、例えば『ドンブラザーズ』の前作『機界戦隊ゼンカイジャー』も、主人公・五色田介人の祖母が経営する駄菓子屋カフェ「カラフル」が基地の役割を果たしていました。

バスもいいけどこの電車はヤバい『烈車戦隊トッキュウジャー』

 戦隊ファンからの評価も高いシリーズ第38作『烈車戦隊トッキュウジャー』。その名の通り「鉄道」や「列車」をモチーフとしたこちらの戦隊の基地は、「烈車」という一般人は目視不能な特殊な車両です。

 ちゃんと「車掌」(演:関根勤)もいれば、女性型ロボに夜車内販売もあります。みなさんの演技力のせいか、車内のやりとりから、えも言われぬ浮遊感のようなものを感じられるのですが、この感覚がのちの展開に繋がっていくとは……。

 以上、昭和から平成、令和とスーパー戦隊シリーズの「秘密基地」の多様性を振り返りました。釈迦の掌の上、使っていない視聴覚室、完全にリモートでの自宅待機、今後どんな場所を「基地」とする戦隊が現れるのか楽しみです。