ケンシロウに制裁されまくったザコたちにスポットが当たった『北斗の拳 拳王軍ザコたちの挽歌』第1巻(徳間書店)

【画像】あおり野郎たちの末路を見逃すな!『北斗の拳』究極版!(6枚)

過信と挑発がもたらす悲惨な末路

 2020年から厳罰化された「あおり運転」には、年々厳しい目が向けられています。また、野球のメジャーリーグでは、ホームランを打ったときに喜びすぎると「あおり(挑発行為)」とみなされ、報復死球をぶつけられることもしばしばです。

 それほどまで危険な「あおり行為」は、「世紀末」なら一発で死につながります。今回は、ゲスなザコキャラの宝庫『北斗の拳』で、あおりすぎたやつらの悲惨な末路からその愚かさを学びたいと思います。

「きさまの拳など蚊ほどもきかんわー」ジード

 最初のあおり野郎は、第1巻に登場する最初の悪党・ジードです。世界が無法地帯となったのをいいことに、モヒカン集団を率いて略奪や殺戮を繰り返していたならず者です。リンたちが暮らしていた村を襲った際には、食料を要求する脅しとして、か弱き子供であるリンの首をへし折ろうとするなどやりたい放題でした。

 しかしその行きすぎたあおり行為は、ケンシロウの怒りに火をつけてしまい、全身に渾身の北斗百裂拳を浴びせられます。その後もまだ事態の深刻さをわかっていないジードは「きさまの拳など蚊ほどもきかんわー」とさらに挑発しますが、ケンシロウが「お前はもう死んでいる……」と告げると顔は真っぷたつに裂け、内臓は決壊したダムのように勢いよく飛び出るほどの悲惨な末路となりました。北斗神拳とあおりの恐ろしさを自らの身体を以て最初に示した人物です。

「てめぇこのボウガンが目にはいらねえのか!?」スペード

 ケンシロウがバットとの旅のなかで出会ったKINGの幹部のボウガン男・スペードは、数々の非道な行為と武器を持ったことによる過信によって悲惨な死を迎えます。ボウガン(クロスボウ)といえば、現実の日本では2022年3月から所持が原則禁止となるほど危険な武器ではありますが、北斗神拳伝承者・ケンシロウに対しては意味を持ちません。

 種もみの老人・ミスミを人質にとったスペードに対し、ケンシロウは「その老人をはなしてやれ!」と話し合いから入りますが、己の武器に絶対的な自信を持つスペードは「てめぇこのボウガンが目にはいらねえのか!?」と挑発。その後もケンシロウは北斗神拳の前ではボウガンがいかに意味のないものなのか丁寧に説明してあげますが、スペードは「バカが 死ねぇ」と、忠告を聞かずに矢を発射。結局、「北斗神拳 二指真空把」によって矢を自分の目に返され潰されています。

 その後も懲りずに部下たちと村を襲い、ミスミのほか多数の村人を殺した結果、ケンシロウの怒りを買って、「北斗残悔拳」で死の恐怖におびえながら無惨に散っていきました。



ユダのあおりに打ち克ったレイが表紙『北斗の拳 究極版』第3巻(徳間書店)

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無数に現れる愚かなあおり野郎たち

続いては、あおりの基本パターンである「過信」と「無駄な挑発」を見事に実行しながら、キレイに制裁を受けた者たちをまとめて紹介します。

「このおれさまと力くらべをしようとはたわけた小僧だぜ」スキンヘッド男

 前述のスペードの部下であったスキンヘッド男は、ミスミの村を襲っていた際、ケンシロウと鎖を引っ張り合う力勝負となりました。よほど自分の腕力に自信があるのか、男は「このおれさまと力くらべをしようとはたわけた小僧だぜ」とケンシロウを小僧扱い。しかしケンシロウがちょっと力を入れるとすぐに力負けし、「ひゃああ」と情けない声を出しながら岩山両斬波で死んでいきました。

「フフ…あと一歩 あと一歩で最期だ」ユダ

 ザコキャラではありませんが、南斗六聖拳の一角「南斗紅鶴拳」の伝承者・ユダも、あおりが敗北の一因となったひとりです。宿敵・レイとの戦いで、勝利まであと一歩のところまで追い詰めたユダは、「フフ…あと一歩 あと一歩で最期だ」とほぼ勝利を確信した笑みを浮かべます。

 しかし、それが心の隙を生んだのか、レイが力を振り絞って放った「南斗水鳥拳奥義  飛翔白麗」の美しさに、思わず見とれてしまいます。「不覚! ま…またしてもおれはきさまの拳に一瞬魂を奪われてしまった」と反省したときにはすでに遅く、勝負は決まっていました。

「汚物は消毒だ~!!」火炎放射器男

 聖帝サウザーの部下として登場するグラサンにモヒカンスタイルの火炎放射器男は、サウザーの前にいた罪なき人々を、「汚物は消毒だ~!!」と超有名なセリフとともに焼き払っていました。しかし、そこに現れたケンシロウに簡単に火炎放射器を奪われると、「おまえのいうとおりだ 汚物は消毒すべきだな……」と北斗神拳の技を使われることもなく、顔に炎を掛けられて死んでしまいます。自分の放った言葉が、キレイにブーメランとなって返った最期でした。

「片足で伝承できる拳法など笑止!!」名も無き修羅

「修羅の国」にいた名も無き前髪ぱっつんマッシュの戦士は、ケンシロウとの戦いで深いダメージが残っていたファルコ相手に一度勝ったまではいいものの、「この国では元斗皇拳など知らぬ!通じぬ!!ましてや片足で伝承できる拳法など笑止!!」と、見事な侮辱セリフを放ちます。さすが修羅の国です。

 これに本気で怒ったのが、ケンシロウとファルコ。ファルコは自分の死を早めるのと引き換えに、ケンシロウから一瞬の「生」を呼び覚ます「刹活孔」を受け、見事に前髪ぱっつん戦士を撃破します。修羅の国でも、「あおり行為」はしっかり死へのフラグとなることを教えてくれました。

 このほかにもまだまだ、あおり名場面がたくさんある『北斗の拳』。制裁を受けた者たちは自業自得ではありますが、それでも愚かなあおりをしていなければ、もう少し楽に死ねたかもしれません。彼らの最期から学べることは多そうです。