【特集:最新SUV「絶対試乗!」主義②】「SV」を冠するレンジローバースポーツには、たぶん敵わない

極上の乗り心地。標準車を凌ぐ上質ぶり

走り出してからも、その洗練されたイメージが崩れることはない。

乗り心地は、標準車のレンジローバースポーツと同じか、むしろこちらの方が快適と思えるくらい。それも、サスペンションストロークのごく狭い領域だけがソフトとか、そういう部分的な快適性ではなく、あらゆるシーンでドライバーの期待を裏切らない心地良さをもたらしてくれるのだ。

コーナリング時のマナーにも感心させられた。とにかくコーナーの進入から脱出に至る過程のどこにも不自然なところがなく、すべて流れるように、そしてドライバーが思い描いたとおりの挙動を示してくれる。

しかも、ハンドルなどから得られるロードインフォメーションは適切で、初めての道でも自信を持ってドライブできる。こうした足まわりを、あくまでも洗練された印象のなかで実現している点がとりわけ素晴らしい。

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圧倒的旋回性能。サーキットで本領を見せつける

そんな上質な乗り心地を備えたレンジローバースポーツSVが、サーキットでもバツグンのコーナリング性能を発揮するのだから唖然とするしかない。

なにしろ、ミシュラン・パイロットスポーツS5を履いたときの最大コーナリングGは実に1.3G(標準装備はパイロットスポーツ・オールシーズン4)。ひと昔前は1G程度が限界と言われていたことを考えると、その進化ぶりはすさまじいのひとこと。

もちろん、軽量スポーツカーのようなヒラヒラ感は味わえないけれど、高性能SUVとして最上級のコーナリング性能であることは間違いない。

一般道では快適なのにサーキットで無類のパフォーマンスを発揮する秘密は、新機軸の6Dダイナミックエアサスペンションにある。

これは前後左右に設けられたダンパーの油圧回路を互い違いに結ぶことでロールやピッチを抑える効果を自ら生み出すシステム。おかげでアンチロールバーが不要になったことが、乗り心地の改善につながったようだ。

いずれにせよ、普段は優雅な佇まいなのに、いざとなれば圧倒的なパフォーマンスを発揮できる点にレンジローバースポーツSVの真骨頂はある。その慎ましさ、そして高性能に対する秘めたる喜びは、良識あるスポーツマンにこの上ない幸福感をもたらすだろう。(文:大谷達也/写真:ジャガー・ランドローバー・オートモーティブ PLC)

●ランドローバー レンジローバー スポーツSV 主要諸元

●Engine


エンジン種類:V8DOHCツインターボ


排気量:4395cc


ボア×ストローク:89点0×88.3mm


圧縮比:10.5


エンジン最高出力:467kW(635ps)/6000-7000rpm


エンジン最大トルク: 750Nm/1800-5855rpm


燃料・タンク容量 L:プレミアム・90L


WLTPモード燃費:8.0-8.5km/L


CO2排出量:267-282g/km(WLTPモード)


●Dimension&Weight


全長×全幅×全高:4970×2047(※1)×1814(※2)mm


ホイールベース:2998mm


トレッド 前/後:1714/1723mm


車両重量:2485kg


ターニングサークル:11.43m乗車定員:5名


●Chassis


駆動方式:4WD


トランスミッション:8速AT


サスペンション形式 前/後:ストラット/マルチリンク


ブレーキ 前/後:Vディスク/Vディスク


タイヤサイズ 前、後:285/40R23、305/35R23


●Performance


0→100km加速タイム:3.8sec


最高速:290km/h


※1 ミラー格納時 ※2 アンテナを含む