日産を挑発するセリカを圧倒した真のライバル、3代目シルビア

当初2ドアハードトップのみで始まった3代目シルビア発売当時の最上級グレード、200ZSE-X

トヨタの2代目セリカが「名ばかりのGT達は、道を開ける」というキャッチコピーでスカイラインGT(5代目C210)を煽り立てたのは有名な話ですが、日産で本来セリカのライバルになるべきスペシャリティ・クーペといえばシルビアです。

「名ばかりの…」が使われた1979年、その3月に発売された3代目シルビアは不本意な販売実績に終わった2代目からその姿を大きく変え、魅力的な内外装に環境性能と動力性能を両立したZ型エンジンを引っ提げ登場、セリカを圧倒する人気でトヨタを慌てさせました。

MOBY編集部がAIに聞いた「30~50代のクルマ好きが気になる名車」にノミネートされている歴代シルビアのうち、今回は「技術の日産」がまだ元気な頃を象徴するようなエピソードを持つ3代目、S110型シルビアを紹介します。

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不遇のセクレタリーカーから、真のスポーツスペシャリティへ

月倍数カ月後に追加された3ドアハッチバック版のシルビア200ZSE-X

1975年に登場したものの、オイルショックによる燃料価格高騰で搭載スべきロータリーエンジンを失い、大人しいL型4気筒を積む通勤用セクレタリーカーも同然だった2代目シルビアでしたが、4年の販売期間の間に日産の技術は着実に進歩していました。

「シルビア」の名にふさわしい真のスポーツ・スペシャリティクーペとして、3代目S110型シルビアが誕生したのは1979年3月、L型4気筒版をベースにアルミ製クロスフローSOHCヘッドを載せた、新しい1.8リッターZ18/2リッターZ20エンジンを積んでデビュー。

安価な二元触媒と二次エア導入装置に、大容量EGR(排気再循環)とツインプラグによる急速燃焼を組み合わせた「NAPS-Z」を採用したZ型エンジンは、SOHC2バルブながらもトヨタのDOHC2バルブに十分対抗可能な動力性能と、環境性能を両立していました。

日本版マスキー法たる、昭和53年排ガス規制への対応を最優先した開発予算の配分でプラットフォームこそ当時のサニーやバイオレットと共通でしたが、伸びやかなデザインのウェッジシェイプ(クサビ型)ボディで2代目から大きく印象を変えます。

さらに日本初のドライブコンピューターや、シングルアームワイパー(ハッチバック車)など、内外装に当時の最新装備を与えたのも、大きなポイント。

当初は2ドアハードトップ、数カ月後には3ドアハッチバックボディを加え、ダットサン200SXの名で販売されていた北米でもZカー(フェアレディZ)の弟分的な扱いで人気となり、後にZが円高ドル安で高価格化した時、実質的にZカー後継となる下地を作りました。

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