モーター店向けのラグジュアリー版、ガゼールも登場

ボンネットの大型デカール、メッキ処理されたBピラー、専用グリルなどでラグジュアリー性をアピールした姉妹車ガゼール

この3代目S110型では、日産サニー店(サニー販売会社)扱いのシルビアのみならず、日産モーター店(ローレル販売会社)向けの新たな姉妹車、「ガゼール」も同時発売。

その名の通りサニーなど大衆車中心のサニー店と異なり、セドリックやローレルを販売するモーター店のガゼールではフロントグリルが異なるだけでなく、Bピラーのメッキ処理やサイドブレーキレバーを革巻きにするなど、シルビア内外装がちょっと豪華なモデル。

大衆向けシルビアに対し、富裕層向けガゼールという位置づけで、オプションでボンネット一面にガゼール(カモシカの仲間、ガゼル)の頭を模したデカールを貼ることもできました。

発売年の1979年10月に始まった刑事ドラマ「西部警察」では、石原裕次郎演じる小暮課長の専用車として、オープンカーに改造されたガゼールが登場、少なくともブラウン管の向こうではシルビア以上の存在感を魅せています。

このS110型シルビア/ガゼールは発売と同時に日産の予想を超えるヒットとなって、ライバルのトヨタ セリカ(当時はニ代目A40型)を追い落とし、2年後にモデルチェンジしたA60型セリカ前期まで両車の激しい闘いは続きました。

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ターボ、DOHCと高性能版を相次ぎ追加

スカイラインRSと同じ2リッターDOHC4バルブエンジンFJ20を積む「シルビアRS」

環境性能と動力性能を両立したZ型エンジンとはいえ、スペック的にはやや物足りずデートカー的な部分で人気を得ていたS110シルビア/ガゼールですが、そこは1980年前後でまだ元気一杯だった「技術の日産」、ターボ車やDOHCエンジン車を追加します。

最初は1981年5月に追加された1.8リッターターボ車で、グロス135馬力を発揮しZ型シリーズ最強を誇るZ18ETを搭載、さらに1982年4月には、R30スカイラインRS(1981年)に搭載されていた、グロス150馬力の2リッターDOHC4バルブエンジンFJ20E搭載車を発売。

特にFJ20Eを積む「シルビアRS/ガゼールRS」は、ギア比をチューンした5速MTやLSDを設定した硬派なスポーツモデルでした。

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