自転車に「青キップ」適用!? 16歳以上を対象に! 事故増加で警察庁が検討へ

今後導入を検討している自転車の交通違反に対する反則金制度について、警察庁は2023年11月10日に開催された有識者検討会で、制度の具体的な案を示しました。自転車の取り締まりをどのように実施する方針なのでしょうか。

自転車にも反則金適用?取り締まりはこれからどう変わる?

 警察庁は11月、今後導入を検討している自転車の交通違反に対する反則金制度について、詳細な案を公表しました。
 
 では、自転車の取り締まりをどのように実施する方針なのでしょうか。

 最近、自転車の交通マナーの悪さを指摘する声が多く上がっています。

 警察庁の統計によると、2022年中に自転車が関連する事故は6万9985件発生。

 そのほか、自転車関連事故が全交通事故に占める割合は2016年以降増加傾向にあります。

 また2022年中は交通切符、いわゆる赤切符での検挙件数が2万4549件。

 検挙には至らない指導警告票の交付件数が131万8830件と、自転車に対する交通指導取り締まりが多くおこなわれています。

 そのような状況の中、警察庁では自転車の交通違反に対して「交通反則通告制度」の適用を検討しています。

 2023年11月10日に開催された有識者検討会で、制度の具体的な案を示しました。

 では、今後自転車の取り締まりをどのように実施する方針なのでしょうか。

 そもそも交通反則通告制度とは、運転者が違反点数3点以下の比較的軽微な違反(反則行為)をした場合、一定期間内に反則金を納めれば刑事罰に問われないという制度です。

 いわゆる青切符による処理ですが、この制度は自動車と原動機付自転車にのみ適用され、自転車は対象ではありません。

 現在は自転車の悪質な違反を赤切符で検挙しているものの、現場での事情聴取や手続きに時間を要します。

 違反者が検察や裁判所へ出頭する必要があるなど、警察と違反者の双方に負担がかかります。

 このような事情や自転車関連事故の増加などもあり、警察庁では交通違反を青切符で簡易的に処理できる交通反則通告制度の導入を検討しているのです。

 有識者検討会の中では、制度の内容について以下のような案が示されました。

 まず青切符の対象となる反則行為は、信号無視や一時不停止などのように自動車でも反則行為とされている違反(約110種類)。

 そして歩道徐行等義務違反といった自転車固有の違反(5種類)の約115種類とする方針です。

 その一方、酒酔い運転や妨害運転(あおり運転)などは非反則行為として、この交通反則通告制度の対象に含めない予定です。

 また、制度の対象を16歳以上の運転者にする方針も示しています。

 年齢を16歳以上に定めたのは、義務教育を修了し、自転車の交通ルールに関する最低限の知識を持っていると判断されるためです。

 とはいえ、自転車で交通違反をしたからといって直ちに青切符処理されるワケではありません。

 警察庁の資料では、警察官の警告に従わずに違反を継続した場合や車両・歩行者に具体的な危険を生じさせた場合、そして「ながら運転」のように交通事故に直結する危険な運転行為をした場合は青切符で処理すると明記されています。

 さらに警察庁は指導取締りの基本的な考え方として、悪質性・危険性の高いケースを取り締まる一方、そうでない大半のケースは引き続き指導警告とする意向を示しています。

 悪質性・危険性の高い事例としては「携帯電話を見ながらの赤信号無視」や「傘を差しながら一時停止することなく進行」、「警察官の警告に従わずに車道の右側通行を継続」などが挙げられています。

 つまり青切符を切られないためには交通ルールを守ることは大前提として、特に危険な「ながら運転」をしないことや、警察官の指示に従うことが重要といえるでしょう。

※ ※ ※

 警察庁では自転車に対してもクルマと同様、交通反則通告制度の導入を検討しています。

 有識者検討会でさらに議論を進めた後、12月に中間報告書をまとめる予定です。

 今後、自転車に関する取り締まりは大きな転換点を迎えるといえそうです。